「世界で勝負できる自分」へ 一歩踏み出すための地図
石倉洋子著 『世界で活躍する人の小さな習慣』

巻末には著者の「推薦本リスト」も掲載。10冊を紹介している
経済のグローバル化で「世界で活躍できる人材」が必要といわれるようになった。世界といわないまでも、生き生きと働いていくために「自分はこのままでいいのか」ともやもやしている人も多いはず。今回の書籍『世界で活躍する人の小さな習慣』は、世界経済フォーラムなどの国際舞台で多くのリーダーと接してきた著者が、世界で通用する人材、会社で求められる人になるノウハウを明かし、挑戦する背中を押す一冊だ。
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石倉洋子氏
著者の石倉洋子氏は、1949年生まれ。71年に上智大学外国語学部を卒業し、フリーの通訳などを経て米国で経営学修士号(MBA)と同博士号(DBA)を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社で企業戦略のコンサルティングなどを手がけた後、青山学院、一橋、慶応義塾の各大学・大学院で教授を務めました。経営戦略やグローバル人材が専門で、現在は資生堂などの社外取締役です。著書に『戦略シフト』(東洋経済新報社)などがあります。本書は、2015年に出版した『世界で活躍する人が大切にしている小さな心がけ』(日経BP社)に加筆し、改題して文庫にしたものです。
理想のキャリア 自ら考え、実現する時代
いきなり「世界で活躍」といわれても、縁遠い気がして腰が引けてしまう人も多いでしょう。ただ、IT(情報技術)の進歩で世界の変化が加速する今、終身雇用など日本型の雇用慣行はどんどん崩れていきます。そんなとき人生とキャリアを充実させるには、どうすればいいのでしょう。
(はじめに 14ページ)
著者のいう「世界」は、文字通りの地理的広がりのほか、自分の周囲の知らない分野の意味もあるようです。そんな世界への道は、ちょっとしたことを習慣として積み重ねていくことで開かれていくと著者は強調します。
世界への道、日常の「ちょっとした心がけ」から
著者がまず勧めるのは、「『正しいやり方をしよう』ではなく、『むやみ』にやってみる」「気楽に声をかける、答える、質問する」といった日常の心がけです。
様々な人と話す経験は、コミュニケーション能力の向上につながります。外国人相手なら英語も上達するでしょう。著者にも、交換留学で初めて米国を訪れたとき、ひんぱんに「あなたはどう思うか」と聞かれて途方に暮れた経験があるそうです。