変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

しかし、最近は機械的な立ち振る舞いでは世の中の共感を集めることが難しくなってきました。むしろ、仲良く2人でコンビを築いてきたことに共感するファンも増えているようです。仲の良いことをネタにしたり、褒め合って笑いを取ったりするスタイルもあるのだと、お笑いに対する価値観も多様化してきたように思います。

私たちの場合も、そのような時期がありました。相方の一人に大喜利の才能があることに気付き、毎日お題に1つずつ答え続ければ必ず開花すると伝えるようにしました。それまでオオカミの群れや軍隊のようなマネジメントをしていましたが、アプローチを変えたのです。

すると、相方はなんと2カ月後に大喜利大会で優勝を果たしました。褒めるという行為は、奇跡を呼び込む力があると今でも思います。

やりたいことを見出し、それぞれが影響力を発揮する

さて、褒め合い、心理的安全性を担保し続けることで、コンビの構成メンバーの自律性は非常に高まっていきます。周囲がコンビの才能を認め、内発的動機を刺激し、自分たちで自分たちを高め合っていきます。

さらに芸人として活動する中で、秘めていた欲求が出てきます。俳優、歌手、映画監督、作家など、一度はやりたいと思っていたことが思いとしてあふれてくるのです。一人ひとりが様々な分野に活躍の場を広げ、知識と経験を重ねる中で、コンビのお笑いに今までにない深みと広がりが生まれます。ここまで来たコンビは、ティール組織といえるでしょう。

残念ながら私たち3人は、ここまで至ることができませんでした。改めて振り返ると、自分がお笑い芸人の夢を諦めた一番の理由は、コンビをうまくマネジメントできなかったことにあると感じています。せっかく、相方の才能を見いだしたのに、そのパフォーマンスを最大化しようとしなかった。家族になりきれなかったのだと思います。

芸人をあきらめ、人事コンサルタントになってからは、組織開発や組織メンバーの関係性の質を高めることに力を入れてきました。自分の芸人時代の失敗を教訓に、企業の方々の組織づくりに貢献したいと考えたからです。

いかがでしたでしょうか? 何かの参考になればと心より思います。それではまた~。

中北朋宏
 浅井企画に所属し、お笑い芸人として6年間活動。トリオを解散後、人事系コンサルティング会社に入社し、内定者育成から管理職育成まで幅広くソリューション企画提案に携わる。その後、インバウンド系事業のスタートアップにて人事責任者となり、制度設計や採用などを担当。2018年に人材研修コンサルティングなどを手掛ける株式会社 俺を設立し、社長就任。

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