社員が推薦「リファラル採用」 転職に生かす極意は?
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
採用企業側が感じているリファラル採用のメリット・デメリットは、声をかけられる側のメリット・デメリットにも通じる部分もあります。今後、リファラル採用のターゲットとなる可能性がある皆さんも、心に留めておいていただくとよいかと思います。
<積極派が語るメリット>
●転職「潜在層」を取り込める
友人・知人に声をかけることで、転職活動をしていない人にも応募してもらうチャンスが生まれます。

友人・知人の紹介の場合、企業文化にフィットしやすいメリットも。写真はイメージ=PIXTA
●カルチャーフィットしやすい
従業員が「この人ならうちの会社に合う」と思った人を呼び込むので、社風に合う人を採用しやすい。「類は友を呼ぶ」の法則があるように、知人・友人などであればある程度志向性も似ている傾向も期待できます。
●コストが限定的
紹介した従業員にインセンティブを支払うにしても、求人メディアへの出稿コスト、人材エージェントに支払う成功報酬に比べるとコストを大幅に抑えられます。
●部署間交流で社内活性化も
従業員が、他の部署で取り組んでいること、そこで求めている人材を知ることになるため、他部署への関心や理解が深まり、会社を俯瞰(ふかん)する視点を持つことにつながります。部署間の交流も生まれ、組織活性化の効果も期待されています。
●従業員の「満足度」の指標に
従業員が自分の会社を友人に勧めるということは、自社に満足していることの証明にもなり得ます。経営者としては従業員満足度を測る指標にもなるということです。また、「自社社員のネットワークや社外活動をつかめる」といった声もあります。
<慎重派が語るデメリット>
次に、リファラル採用に否定的な方、慎重に検討している方の意見も紹介します。これらは、リスクを感じて躊躇(ちゅうちょ)している方、実際にリファラル採用を実施してみて不具合を実感している方の意見でもあります。
●不採用にしづらい
「従業員から紹介を受けたものの、求める人材像とマッチしていない、その人と従業員の関係がぎくしゃくしてしまうことになると思うと、不採用にしづらい」という声が多く聞かれます。
●フィルターがかかり、的確な判断ができない
従業員が推薦する人は「うちの会社に合うのだろう」「いい人なんだろう」と、ひいき目に見てしまいがちになります。的確な判断ができずに迎え入れた結果、入社後にギャップが生じるケースもあるようです。