70歳定年まで働きたい? 50歳代は延長疑問視が優勢

「定年延長はキャリアプランを見直すきっかけになるか」 出所:エン・ジャパン
一方、30~40代では「働き盛りで目の前の仕事へ懸命に取り組んでいる人が多い。『それほどまで長く働く想定でキャリアプランなど立てていない』というのが、本音なのではないか」(天野氏)。実際、定年延長が「キャリアプランを見直すきっかけになるか」という質問に対し、「はい」と答えた人は全体の67%に上ったが、この割合も年代が上がるほど増える傾向だ。
求められる人材、「学び続ける」意欲がポイント
企業が労働者を何歳まで雇うかは、それぞれ就業規則で定めている。一方、13年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、「65歳までの定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの方法で、社員を65歳まで雇うことを企業に義務付けている。
ただ、高齢者をうまく活用できていない企業も目立つのが実情だ。60歳以降の5年間は正社員とは異なる雇用形態になるケースも多く、高い能力を持つ人材でも、それに見合う給与やポストで活躍できていないという指摘は根強くある。IT(情報技術)の急速な進歩などビジネス環境の変化に追いつくのが難しかったり、周囲との新しい関係をうまく築けなかったりといった問題を抱える場合もあるようだ。
将来、職場の「お荷物」にならないようにするには、30~40代はどんな意識で仕事に臨めばいいのだろうか。天野氏は、今の会社に長く勤めようと思っているか、転職や起業・独立を検討しているかにかかわらず、「基本的に重要なことは共通している」と話す。
「10年後、20年後にどんな人材が求められるのか。これは正直、現時点では分からない。たとえば、小売業界では現在、インターネットの販路拡大がビジネスの鍵になっている。数十年前にこれをイメージできた人が、どれだけいただろうか。これからもビジネス環境が大きく変化していくのは確実。必要なのは、変化を前提としてキャッチアップし続ける意識だ」(天野氏)