70歳定年まで働きたい? 50歳代は延長疑問視が優勢
時代の変化に適応するため、近年は特に学び直しの意欲や機会を持つことの重要性が強調される。ただ、海外留学や経営学修士号(MBA)取得などといっても、一般的なビジネスパーソンにはハードルが高そうだ。だから、今取り組んでいる仕事のなかで「社外でも通用するスキルを身に付けることも考えたほうがいい」と天野氏は指摘する。
長く働くコツ 「自分の価値」を知っておく
「『自分にできること』『周囲から評価されていること』を日頃から整理しておくのが一番だ。転職を真剣に検討しているのでなくても、たとえばネットで見られる他社の求人情報を参考に、応募できそうな仕事を考えてみる。つまり、今の自分のスキルを生かせそうな仕事がどれくらいあるか、シミュレーションをしておくといいだろう」(天野氏)
40~50代前半での転職実績も増えているが、「自分の価値を相対化できていない」ためにうまくいかないケースも多いという。ひとつの企業で長く勤め、年齢を重ねて年収1000万円に達した人材が、他社に転職をする際にも同じ報酬をもらえるとは限らないからだ。
天野氏は「3カ月以内に、あるいは半年以内に、などと転職の具体的な期限を決めていなくても、キャリアカウンセリングを受けに来るミドル世代は増えている。民間の転職エージェントに意見を聞きながら、自分の市場価値を定期的に相対化してみるのもおすすめ」と話す。
「高齢者」ともなれば、健康状態や家庭の事情も様々。リタイアという選択肢もあって当たり前だ。一方、生き生きと長く働き続けたいと願うなら、「70歳まで働くかもしれない時代」を念頭にキャリアプランを考えてみるのもいいだろう。遠く思える将来に思いをめぐらし、自分の強みを磨いていく姿勢は、必ず今にも生きてくるからだ。
(ライター 加藤藍子)