freee佐々木氏の開成時代 「学生バッグ」作って自信
佐々木大輔・freeeCEOが語る(上)

佐々木大輔・freeeCEO
クラウド会計ソフトで急成長するfreee(フリー、東京・品川)を2012年に創業した佐々木大輔最高経営責任者(CEO、38)は、東京の下町にある公立小学校から国内きっての進学校、開成中学(東京・荒川)に進んだ。入学直後から、勉強だけではない、あらゆる方面で才能あふれる同級生たちに圧倒されたという。「自分らしさ」を探してもがくなか、自信をつけるきっかけとなったのは、同高校時代に勝手に作った「学校指定バッグ」の販売だった。
子供時代は東京・下町の公立小学校で過ごした。
通っていたのは、下町でしたが地域の意識の高い人が集まってくる学校で、中学校を受験する生徒が多かったんです。5年生になると、放課後みんな塾に行く。遊んでくれる人がいなくてつまらないので「塾に行かせてほしい」と頼むと、親もしぶしぶ認めてくれました。
塾は休み時間に友達とトランプの「大貧民」をやるのが楽しみで通いました。ところが、トランプで強い仲間はみんな上のクラスにいっちゃうんですね。よりよい「大貧民仲間」を求めていたら、いつの間にか一番上のクラスにいました。
開成を受験した大きな理由は家から2駅と近いから。学校案内を見て「校章がかっこいいな」と思ったぐらいで、実際に学校に行ったのは受験の日が初めてでした。頭のいい人が多いので「勉強はできても弱々しい子が多いのかな」ぐらいのイメージでした。ところが、実際に入学してみると、みんな勉強はもちろん、スポーツもできるし、ピアノもできるし、ケンカしても強い。これは何やっても勝てない集団に来ちゃった。大変なことになっちゃったな、と衝撃を受けました。
トランプをやっても全然勝てないんですよ。TVゲーム「ぷよぷよ」の日本チャンピオンという人もいたし。おとなしい感じの生徒もいますが、そういう人もピアノがすごいとか、何か突き抜けている。自分には「これは負けない」というものがなかったので、中1からちょっとしたアイデンティティ・クライシスに陥りました。