変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

校則もほとんどないという旭丘の「自由」には責任も伴う。杉山氏は「生徒が何事にも自らの意思で行動することを通じ、責任感やリーダーシップを養うことを目標にしている」と話す。

多くの生徒が参加する討論。企画するのも仕切るのも生徒だ=旭丘高校提供

多くの生徒が参加する討論。企画するのも仕切るのも生徒だ=旭丘高校提供

たとえば、6日間も続く学校祭「鯱光(ここう)祭」は、企画から準備、運営まですべて生徒たちが取り仕切る。目玉は生徒の大半が参加する討論会だ。いくつかの会場に分かれて行うが、2018年に一番大きな会場で開いた討論会のテーマは、憲法9条を問う「私たちの"9条"、どうする?」だった。

だらだらした議論にならないよう、生徒は政党を模したグループに分かれ、それぞれの「党首」が演説して全体の議論を促す。模擬国会のようなものだ。こういった演出も生徒たちが考え出すのだという。杉山氏は「討論をしっかりできる若者に育てるという徹底した教育方針は昔も今も変わらない」と強調する。

リーダー養成へ、英ケンブリッジ大と交流

リーダーシップを養うため、近年新たに始めたのが英ケンブリッジ大学での自由研究だ。14年に文部科学省から、国際的に活躍できる人材の育成を目的としたスーパーグローバルハイスクール(SGH)校に指定されたのを機に、毎夏12人ほどの生徒を選び、研修生として派遣している。

生徒は自分でケンブリッジ大の先生とメールでアポイントを取り、やろうとしている課題研究の内容を説明し、2週間、現地で指導を仰ぎながら研究を進める。「18年には、偶然にもノーベル化学賞を受賞した教授から直接、話を聞くことができ、生徒たちにとっては素晴らしい体験になった」(杉山氏)

生徒たちのレベルの高い研究が評価され、18年にはケンブリッジ大から推薦枠を与えられた。卒業生を毎年、ケンブリッジ大セント・ジョンズ・カレッジに推薦できる制度だ。急な申し入れだったため、初年度は人選が間に合わず推薦を見送ったが、「来年度以降はぜひ卒業生を送りこみたい」と杉山氏は力を込める。

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