機動戦を制す戦闘哲学OODA ビジネスに生かすには
八重洲ブックセンター本店
宮本武蔵やトヨタも登場
軍事領域のドイツ電撃戦と並んで、ビジネス領域で頻繁に言及されるのがトヨタ生産方式だ。著者によれば、トヨタ生産方式はOODAの好例だという。このほか、1980年代初めのオートバイの世界シェアを競ったホンダとヤマハのHY戦争など、日本企業への言及が思いのほか多い。孫子と並んで宮本武蔵の兵法書「五輪書」も現代に通じる戦略論の古典としてたびたび引用されている。
OODAが前提とするのは、相互信頼のある組織文化であり、意思決定を言葉として伝えるよりも暗黙の誘導・統制に重きを置くなど、日本企業が育んできた企業文化になじむ側面が多いことに改めて驚かされる。
最後に訳者による長文の解説がつく。「AI、IoT、ビッグデータ、ソーシャルメディアという流れのなかでリアルタイムにデータを収集し、即座に判断して行動に移すこと、これが競争優位を築く鍵になりつつある」として、この本が今出版されることの意義を強調している。「強い売れ筋ほどではないが、入荷した2月末以来、店頭での動きはずっといい」と、ビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんは話す。
英語学習本が1位に
それでは、先週のベスト5を見ておこう。
1位は、問題解決アプローチを適用した英語コーチングプログラム「PROGRIT」開発者による英語学習の新手法を紹介する本。2位には、会計事務所などが手がける中小企業の補助金申請など認定支援機関業務に関する実務書が入った。『FACTFULNESS』は3位だが、店頭での売れ行きは上位2冊をしのぐ。4位は、ベンチャー企業を舞台にした小説の形で、才能の生かし方や殺し方、職場の人間関係についての洞察をちりばめた本。5位にはこの書店の定番の売れ筋、大前研一氏の本が入った。紹介した戦略論は13位だった。
(水柿武志)