生活と仕事、バランスより「統合」がスウェーデン流
クリスティン・エドマン著 『アップ・トゥ・ユー 「よくばりに生きる」ためのキャリア戦略』
1日は誰にも平等に24時間しかありません。だからといって、100%を会社に捧げるわけでも、常にプライベートを優先して仕事をないがしろにするわけでもありません。スウェーデンでは、両方をインテグレート(統合)し、自分にとって一番心地よく、効率よく取り組める方法でやればいい、という考え方が根底にあります。
(「ワーク・ライフ・インテグレーション」のすすめ 48ページ)
(「ワーク・ライフ・インテグレーション」のすすめ 48ページ)
「力を入れる」と「捨てる」をはっきり
著者は、H&Mで働く人は「80-20(エイティ・トゥエンティ)」という考え方を共有していたと紹介します。100%を目指さず、重要な20%の仕事に集中する。それによって80%の成果を得るという考え方です。
これに沿って考えると、たとえば上司への報告のために完璧な資料をつくる手間をかける必要はなく、2~3分の口頭説明で上司も納得するということになるのです。
ポイントは、「完璧を目指さず、優先順位を決めて、何を『やらない』かを決めること」です。(中略)
「完璧を目指さない」というのは、何だか手抜きをしているような後ろめたさがありますが、80-20という考え方が加わると、それは単なる手抜きではなくなります。
抜くべきところを見極め、成果にフォーカスするという戦略的な行動になるからです。
(H&Mで見つけた、仕事と人生の「ムダをなくす」技術 77ページ)
「完璧を目指さない」というのは、何だか手抜きをしているような後ろめたさがありますが、80-20という考え方が加わると、それは単なる手抜きではなくなります。
抜くべきところを見極め、成果にフォーカスするという戦略的な行動になるからです。
(H&Mで見つけた、仕事と人生の「ムダをなくす」技術 77ページ)
本書には、時間を有効に使うためのアイデアがあふれていますが、ひとつひとつのトピックは見開き2ページ程度の分量に収まっており、スッと頭に入ってくる構成です。男女を問わず、24時間をいまよりもっと充実させたい方におすすめしたい一冊です。
◆編集者からひとこと 雨宮百子
2017年の初め、早稲田大学の卒業生でつくる「女の未来塾」という会で、H&Mを退任したばかりのエドマンさんの話をききました。パワフルでありながら、参加者と同じ目線で語られる体験談に引き込まれ、「本にしたい」という決意が生まれたのです。
タイトルのアップ・トゥ・ユー(Up to You)とは「あなた次第」という意味で、エドマンさんがよく使う言葉です。どんな道を選ぶのか、夢を諦めるか追い続けるか、すべて自分で決める。「自分のキャリアに受け身にならないで」という著者のメッセージが込められています。
一日に数百冊が世に出るとされる新刊書籍の中で、本当に「読む価値がある本」は何か。「若手リーダーに贈る教科書」では、書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介します。掲載は原則、隔週土曜日です。