修学旅行は各界OB訪問 宇都宮高、伝統の結束力
栃木県立宇都宮高校の村山二郎校長に聞く
もう一つ、力を入れているのが課題研究だ。クラスの枠をはずし、興味関心、将来の進路などをもとに、6~7人のグループごとに課題テーマを設定し、県庁や市役所などの外部機関と連携しながらリポートをまとめる。リポートは、類似したテーマごとに分かれて開く予選会で審査。予選会を通過した10程度のグループが全校生徒の前で発表する。
グループでの課題研究で発信力を強化

質実剛健をモットーとする宇都宮高校
「当校の生徒はまじめで受信力は高いが、発信力が少し弱い。また、一人で勉強するのは得意だが、大勢で議論しながら課題を解決していくことに慣れていない」。村山氏は課題研究を取り入れた理由をこう解説する。
グローバル化を見据えた人材育成にも目配りする。2年生の希望者のうち、毎年15人前後がオーストラリアへ12日間の研修旅行に行く。ホームステイをしながら、現地の高校生らと交流し、英会話や異文化とのコミュニケーション力を身に付ける。また、宇都宮大学で学ぶ留学生や、県内の高校などで英会話を教える外国人の補助教員(ALT)を招いての交流会も開き、英語に触れる機会を増やしている。
様々な施策を通じて、どんな人材を送り出そうとしているのか。村山氏は「生徒たちが生きる未来は決してバラ色とはいえない」という。地球温暖化などの課題は複雑かつ深刻さを増すが、だからこそ「解決することにやりがいを感じる、困難の中に面白みを見いだす人材に育ってほしい」と語る。
その考え方は「滝の原主義」にも通じるという。「世の中の変化に対応していく必要はあるが、根幹は変えない。浮かれることなく、剛毅に」。卒業生の結束力に支えられ、ひたむきに学ぶ生徒たちの姿が、村山氏をはじめ教員らの自信につながっているようだ。
(村上憲一)