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クレドの精神、カリスマを不要に

クレドをつくったのは、J&Jの創業者の息子で3代目のトップを務めたロバート・ウッド・ジョンソン・ジュニアという人物です。できたのは43年で、翌44年に上場を控えていた。プライベートカンパニー(同族企業)からパブリックカンパニー(株式公開企業)になるのだから、「こういう考え方でやらないとうまくいかないよ」と示したのがクレドなんです。

クレドができてから19年で76年になります。J&Jは、世界中でこれに従ってビジネスをしてきました。有名な企業ではあるけれど、本社の歴代CEOの名前を言える人は、まずいませんよね。それはカリスマをつくらない組織だからです。カリスマというような存在は、クレドだけで十分だということです。

一方、ゼネラル・エレクトリック(GE)を率いて名声を得たジャック・ウェルチ氏はカリスマ経営者でした。でもカリスマができてしまうと、後継者はだめになってしまうのです。今のGEの経営は相当悪くなっている。僕がJ&Jを辞めた11年前には、GEはピカピカの超一流企業でした。それが今では事業の切り売りです。

これはウェルチ氏が偉大すぎたからです。今のGEをみると「カリスマはつくってはいけない」と思います。これは多くの日本企業にも当てはまる話ではないでしょうか。

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松本晃
 1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じたのも話題に。

(シニアライター 木ノ内敏久)

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