ボルネオ島で異文化体験 岐阜高、補習なしの授業勝負
岐阜県立岐阜高校の折戸敏仁校長に聞く

現地の人々との交流もボルネオ島での研修の目的だ=岐阜高校提供
ボルネオ島での研修はもともと岡山県にある清心女子高校が実施しており、岐阜高の生徒が参加させてもらったことがあったという。18年度から同校が岐阜県の理数教育の研究指定校となったのを機に独自に研修を行うことにした。「異文化に直接触れることで、生徒たちは大きく成長したようだ」と折戸氏は目を細める。
自ら発信する力を高める
グローバル人材の育成をめざす研修は、従来から米国東海岸でも続けている。ハーバード大、マサチューセッツ工科大などを訪問し、テーマを決めて大学生らと英語で討論する。「行く前の事前研修が大事だ。ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得し、国内外で活躍しているOBを講師として招き、自ら問題意識を持って質問したり、自分の考えを主張したりできるようにしている」
同校の校訓は「百折不撓(ひゃくせつふとう)、自彊不息(じきょうふそく)」。幾度失敗しても志を曲げないこと、自ら努め励んでやまないことを意味する。折戸氏は「生徒たちはちょっとした刺激があれば、自ら学びを深めていく。単に知識を教えるのでなく、背中を押してあげるのが教員の役割」と強調する。
学校行事だけでなく、生徒が自主的に情報発信力を高める活動も盛んだ。たとえば、高校生が指定された国の大使になったつもりで議論する模擬国連大会。岐阜高は18年11月の全国大会で、シリア大使として武器移転問題をテーマに主張を展開し、審査員特別賞を受賞した。19年5月に米ニューヨークで開く国際大会にも派遣されることが決まった。
模擬国連の東海地区大会は18年から開かれている。岐阜高と海陽中等教育学校(愛知県蒲郡市)が共同で始めたもので、岐阜や愛知、長野、京都などの高校生が参加し、主張する理論の組み立て方やスピーチの技能を高め合う。「教員が指導することは少なく、生徒たちが会の運営も含めて自主的に進めていく」と折戸氏は感心する。
クラブでの研究、世界で受賞
さらに18年5月には、米国で開かれた世界各国の高校生が研究成果を発表するイベントに自然科学部のメンバー3人が参加。見事に優秀賞を受賞した。クラブ活動の一環として、絶滅の恐れのあるカスミサンショウウオの保護に取り組んでおり、研究成果を生かして新たな生息地を見つけたのが評価された。