変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

ほかにも科学技術振興機構が主催する「科学の甲子園」、文部科学省などが後援する「即興型英語ディベート全国大会」などでの上位入賞を目指し、生徒たちはクラブ活動に積極的に参加する。生徒の9割が何らかのクラブに入っているという。折戸氏は「生徒たちには、日ごろから『高いレベルでの文武両道』を目指してほしいと話している」という。

1年生から3年生まで男女合わせて1100人弱が学ぶ県立岐阜高校

1年生から3年生まで男女合わせて1100人弱が学ぶ県立岐阜高校

では学習面はどうか。難関大学の合格者数をみると、18年春は東大が19人、京大が20人、阪大が18人とバランスよく実績を残している。名古屋大には毎年50人前後を送り込む。こうした高い進学実績を支えるのも、やはり生徒の自主性だ。

キーワードは「授業で勝負」。同校では早朝や放課後に全員が参加するような補習授業はやらない。土曜日や長期休暇の補習もない。その代わり放課後に希望者が参加できる英語や数学などの「自由選択科目」があり、強化したい科目をより深く学べる。また3年生向けには各科目の「特論講座」があり、生徒がそれぞれの志望に応じて受講できる。

生徒が刺激し合う環境づくり

「授業以外の時間まで縛るのは生徒の自主性をそぎかねない」というのが、同校の考え方だ。空いた時間には様々な体験をし、将来のキャリアに思いをはせてもらいたいという狙いもある。

その一つの表れが職業・学問体験プログラムだ。18年には社会活動家の湯浅誠氏を招き、子供の貧困問題などについて語ってもらった。憲法学者の木村草太氏には法的に思考することの重要性について話を聞いた。また、トヨタ自動車グループの技術者が中庭に水素自動車などを持ち込んで車の構造を解説する講座も開いた。

加えて同校同窓会が主催する講演会も年1回開いている。過去には同校OBである大和証券グループ本社の日比野隆司会長らが登壇している。折戸氏は「すべてでなくてもいい。何か一つでも、自分の心に火をつける体験になってくれれば」と期待する。

同校が目指す人材像について、折戸氏は校歌の一節を引き合いに出す。「国家の為に明け暮れ学ぶ」。卒業生は皆、ここに力を込めて歌っているように感じるという。国家のためといっても政治や行政だけを指すのではない。「今、目の前にあるのが国家。地元のためでもいいし、世界のためでもいい。人のために貢献できる人材になってほしい」という。

様々な大会や活動で成果をあげたり、貴重な体験をしたりした生徒が、頻繁に校内で報告する。それを聞いて他の生徒も学び、より広い視野を持つようになる。「生徒同士が刺激し合い、お互いを高めていく。この校風を大事に育てていきたい」と、折戸氏は力を込めた。

(村上憲一)

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