「数字が苦手」は損 会計センスが身に付く8つの習慣
長谷川正人著 『コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方』

「数字でものごとを考えるスキル」をわかりやすく紹介
ビジネスの世界で「数字」は極めて重要だ。例えばライバル会社の経営を知ろうとするなら、売上高や利益など客観的な数字抜きでは評価できない。「そうはいっても、自分は数字は苦手で……」。そんな"文系思考"の会社員に向けて「数字で考えるスキル」を伝授するのが、本書『コンサルタントが毎日やっている会計センスの磨き方』だ。会計センスを身につけるためには「8つの習慣」を実践すればよい、と筆者は説く。いずれの習慣も日常的なテーマを教材とするちょっとした「発想のトレーニング」だ。「数」への苦手意識を克服したい方は、今日からでも取り組んでみてはいかがだろうか。
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長谷川正人氏
著者の長谷川正人氏は、1958年東京生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部を卒業し、大手コンサルティング会社に入りました。若手ビジネスパーソンを対象とする会計や財務に関わる研修や講演の経験も豊富です。著書に『ヤバい決算書』などがあります。
会計センスを身につけると世界が広がる
「会計というのは英語と同じだ」と著者は指摘します。英語と同じように、身につけることができればより多くの人とコミュニケーションがとれ、世界が広がるからです。数字を読み解くための「会計センス」を身につけることで、「数字でものごとを考える習慣」がつき、数字の裏に隠された背景をより深く理解することができるようになります。
(はじめに 5ページ)
会計センスを身につけ、数字に数多く触れていく中で、企業の大きさや業界の規模などを数値で理解することができるようになるのです。
なぜ、数字で考えることは大切なのか
「会社の状態・動きはすべて数字で表せる」と著者は述べます。だからこそ、コンサルタントの仕事は数字で示せなければクライアントを説得できないのです。コンサルタント業界の入社試験では何もデータがないところから、あるものの数や規模を導き出すための手法が用いられます。こうした試験によって、論理的・合理的な思考力の強さをみているのです。
例えば、大企業を数字で表すとします。日本に上場企業は約3700社ありますが、その中でも連結売上1兆円以上の企業は154社にすぎない、と著者は指摘します。売り上げが3000億円以上5000億円未満だと、コクヨやライオンなどの企業が入ってきます。これでも上場企業のうち435社にしかならないのです。
このように考えると、「大企業とは、売り上げが大きい企業のことをいう。目安として売上数千億円以上なら大企業とみなされる」と著者は定義します。
(習慣3 身近な企業で数字の感覚をつかもう 61ページ)