世界変えるヒト世界から集う 国際高ISAKの育成力
UWC ISAKジャパン 小林りん代表理事(1)

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンの小林りん代表理事
IT(情報技術)など技術の急速な進化に伴い、経済や社会の変化は加速しています。一方、「変化に対応して世界と競うようでなければ、日本は現状維持すら無理なのではないか」という漠然とした不安を抱える人も多いようです。こんな時代を生き抜くには、どんな力が必要なのか。その答えを探し続けてきたのが、世界から生徒が集まる全寮制の国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)ISAKジャパン」の小林りん代表理事です。これからの人材に必要な3つの力について、連載でお届けします。
◇ ◇ ◇
生徒200人、出身国・地域は80超す
長野県軽井沢町にあるUWC ISAKは「自ら成長し続け、新たなフロンティアに挑み、共に時代を創っていくチェンジメーカーを育む」という珍しい理念を掲げる。文部科学省認定の日本の高校でありながら、国際的な大学入学資格「国際バカロレア」の認定校でもあるユニークな国際高校だ。
開校は2014年8月。19年9月には新1年生を迎え、82カ国・地域の生徒200人が学ぶことになる。授業は英語で教員の9割が外国人だ。
一般にインターナショナルスクールといえば、外交官や先進国の企業関係者の子女向けで学費も高いというイメージがあるが、UWC ISAKは趣が違う。教育理念に賛同する人からの寄付などで、生徒のほぼ7割に給付型奨学金を出しており、経済的に豊かでない家庭の子どもでも意欲と能力次第で学ぶチャンスをつかめる。それは小林氏や創立に携わった仲間たちが特にこだわった点でもあるという。
「今、世界中で社会の分断や紛争が起きています。根底には持てる人とそうでない人の格差、宗教や歴史などをめぐる多様で複雑な価値観の違いがあります。そうした違いを肌で知り、相互理解や歩み寄りにつなげるためにも、この学校はあらゆる多様性を内包しなくてはならないと思いました」と小林氏は振り返る。