会社辞めて勝つ 50代での独立、元トヨタ部長が指南
紀伊国屋書店大手町ビル店
フリーランスとしての知恵編では、自分の値段を決めるのが難しいと述べ、サラリーマン時代の年収を日割りして基準をつくるといいとアドバイスする。例えば年収1千万円だったら、200日稼働で日給5万円となり、週1回のコンサルティングなら月20万円という目安がつくれるわけだ。こうしたアドバイスを参照することで、読者は自分がフリーランスになったときのイメージをかなり具体的に思い描くことができるだろう。「人生の後半を自分の力で生きるという選択肢を提案したい」という著者の意図がストレートに伝わってくる。
「この店の周辺は大規模なリストラ時代に入るといわれている金融業界の企業が多く、この本のテーマがずばり刺さった感じがする」と、ビジネス書を担当する西山崇之さんはみる。転職や働き方関連の本が並ぶ書棚に平積みしていたが、新聞広告が出たことを受けて通路に設けた平台にも展示したところ、手に取っていく人が増えたという。
楽天のIR活動担った実務家の記録も上位に
それでは先週のベスト5を見ておこう。
1位は元三井住友信託銀行副社長の著者が人工知能(AI)時代を生きる銀行員のあり方を語った本。画廊のオーナーがアートから学べるビジネスへのヒントを語った本が2位に入った。3位に『FACTFULNESS』。店頭の実売では事実上のトップで、発売から半年を経てもなお一番の売れ筋だ。同数の4位に4冊。このうち新刊としては、楽天で投資家向け広報(IR)活動を進めてきた著者による回顧録と、今回取り上げたセカンドキャリアの手引書が目をひく。他の2冊には、6月に訪れたときも上位に入っていた国際金融規制の解説書、自分の強みを知るロングセラーが並んだ。
(水柿武志)