幼なじみコンビで起業 窮地ではそろって給与半分に
ビースタイル 三原邦彦会長(上)

ビースタイルの三原邦彦会長は幼なじみの増村一郎社長を含む4人で創業した
主婦に特化した人材サービスで成長を続けるビースタイル(東京・新宿)は幼なじみの会長・社長コンビが創業した企業だ。会長の三原邦彦氏と社長の増村一郎氏は小学校時代からのつきあい。リーマン・ショック直後に売上高が3分の1に急減した際は、そろって給与を半分にしたソウルメイトだ。
――2002年、主婦層を主な対象に、パートタイム型の人材派遣業からスタートしました。
「4人で創業しました。結婚・出産でキャリアを中断される女性が多い状況を見ていて、もったいないなと思っていました。例えば、ある女性が高校時代にファストフード店でアルバイトをしたとします。その女性が高等教育を受け、就職しますよね。一生懸命にキャリアを積んだと思ったら、結婚・出産を経て再び同じようなアルバイトに戻る。これって、おかしくないですか。ファストフード店でのアルバイトが悪いわけではりませんが、もっと経験を生かせる仕事があるだろうと思っていました」
「一方で、主婦の大多数が働きたいのに働けないという新聞記事もしばしば目にしていました。主婦でも働きやすいよう、短時間、単日数の仕事を中心に企業のオーダーを取りに行ったのですが、当時はまだ主婦の力をホワイトカラーで生かそうという発想がなく、受注に苦労しました。最初のうちは営業というよりも、主婦層がいかに優秀かをわかってもらう啓蒙活動のような感じでした」
「今でも覚えていますが、起業して最初の月の売上高は4万9800円。そこから必死に営業して、3カ月で月次売上高を800万円台にまで伸ばしました。派遣スタッフの時給が当時は1000円ぐらいだったと記憶しています。ボリュームゾーンで言うと、子供がいない30歳前後と子供がいる40歳前後に分かれていました。社会人としての経験年数も10年以上ある人が多く、すぐに働ける優秀な人がたくさんいたのです」
「当時、私が営業先でよく言っていたのは、彼女たちは能力値が下がったわけではないということです。結婚・出産を経てライフスタイルが変わっただけの人たちなんです。ライフスタイルが変われば、それに応じてワークスタイルを変えればいいのですが、当時はまだそういう発想もなかったですし、キャリアを積んだ人が時短で働くような選択肢もほとんどありませんでした。一方で、企業の中で総合職として働く女性はどんどん増えていました。その人たちが結婚・出産を経てキャリアを中断しなくてはならないような状態を解消したいと思いました」