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そこで今後は部下の男性を面談することになりました。詳しく話を聞いていくと、上司が訴えていたトラブルは氷山の一角で、タイムカードの打刻を忘れてしまったり、メモがうまくとれなかったり、取り違いが多く仕事の判断が追い付かなかったり、といった悩みを打ち明けてくれました。この男性自身もミスによるストレスからうつ状態となっていました。

ADHDかどうかを判断するにはいくつかの基準があります。部下の男性の症状はまさにADHDにあたるものでした。本人に専門医を紹介するのとあわせて、会社には配置転換などの対策をとるように助言しました。

結果、男性は営業部門から製造部門へ異動となりました。周囲の理解やサポートに加え、機械の操作手順を細かく記したメモを持ち歩き、毎回ひとつひとつ確認しながら作業をこなすなどの努力も実り、ミスも目立たなくなったそうです。鬱状態だった心理状態も大きく改善されました。

多動性・衝動性・不注意

それでは、ADHDはどのような病気なのか、詳しくみていきましよう。

ADHDの行動には(1)多動性 (2)衝動性 (3)不注意――の3つの特徴があります。

このうち「多動性」は、絶えず動き回るなど落ち着きがない症状を指します。子供のころにこうした行動特性がみられても、大人になると目立たなくなることが多いようです。

代わって大人で目に付くのが「不注意」です。ビジネスシーンでいえば、誤入力を繰り返したり、約束の期日を忘れてしまったり、といったようなミスを繰り返すことが多いようです。整理整頓や時間の管理が苦手という傾向もみられます。

「衝動性」の表れとしては、その場の空気を読まずに、ついつい思っていることをそのまま口に出してしまう、ということも含まれます。怒りをコントロールできず、ささいなことですぐに激怒してしまうという例も少なくありません。丁寧であるべきはずの顧客宛てのメールで、知り合いに送るようななれなれしい文面をうっかり記してしまったという人もいました。

こうしたADHDの症状は、本人が何かを怠った結果というわけではありません。むしろADHDの人には、非常に努力している人が多いと感じています。間違わないように気をつけようと思っても、自分をコントロールできず、うっかり忘れてミスを犯してしまうのです。

こうした症状の原因は脳内の神経伝達物質の減少にあると考えられています。

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