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授業の特徴は、自己分析によって「自分がやりたいこと」と「自分の感情的な特性」を知ることだ。小林氏は「やりたいことが分からない人も、自分が嫌なこと、やりたくないことや困っていることを考えれば、方向性は見えてきます」と話す。むしろ難しいのは、普段はあまり深くは考えない自分の感情の面だという。

自分の感情の「根」、言葉にして発見

自分と向き合って考える授業を開発した鶴見泉氏=UWC ISAK提供

自分と向き合って考える授業を開発した鶴見泉氏=UWC ISAK提供

生徒たちは、まず自分の感情を言葉にするやり方を学ぶ。「日々の生活で、たとえば何かにムッとしたとします。その原因は悲しみか、怒りか、それとも嫌悪なのか。突き詰めて考え、言葉で表現します」と小林氏。日々の心の動きとその理由を考える。そうすると感情面での自分の特性や、本当はどうありたいのかが見えてくるという。

自分への理解が深まれば、理想の状態を目指すポジティブな行動に結びつきやすくなる。感情を制御する対象というより、自分の大切にしていることを知るきっかけとして受け取るのだ。

小林氏は、自分の心を分析して大きく変わった生徒のエピソードを明かす。中国語圏の出身で、絵に描いたような優等生の女子生徒の話だ。入学当初、同じチームの生徒が何人も遅刻してくるのを目の当たりにした女子生徒は「とてもこんなチームをリードできない……」と落ち込んでいたという。

ところが、自身の感情に目を向けたその生徒は「自分は時間に遅れてはいけないという文化で育ってきたが、相手には悪いという感覚はない。自分は、その価値観の違いにいら立っているのだ」と気づく。すると今度は「彼女は時間にはルーズだけど場を盛り上げるのは、とてもうまい」とか「彼は遅刻ばかりするけど、斬新なアイデアをたくさん出す才能がある」などと、別の見方ができるようになったという。こうした感情を見つめるやり方をはじめ、様々なメソッドを取り入れた授業で、生徒たちは互いの違いを深いレベルで理解し、問題解決に向かう力を身につけていく。

高校生にデザイン思考

自分の問いを立てた後、それを実現していく力をつける授業が「リーディング・ウィズ・アザース(他者と共に導く)」だ。自分がやりたいことを実現するのに、どんな解決方法があるか考え、そのプロトタイプをつくって試し、改良するというサイクルを回していく。いわゆるデザイン思考をとり入れたアプローチを学ぶ。こちらは同じく教員であるブレンダン・マクギボン氏が開発した独自のカリキュラムだ。

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