令和の「母校」広大付属 初の女性校長が導く新時代
広島大学付属中学・高校の鈴木由美子校長に聞く
ユネスコの理念を普及・実現する目的で53年に始まった「ユネスコスクール」には、設立当初から加盟している。クラブ活動扱いの「ユネスコ班」は、持続可能な社会づくりや国際平和への貢献をテーマに、様々なボランティア活動に取り組んでいる。ユネスコ班の活動を通じて、海外の高校生と交流する機会もある。

「令和」の考案者とされる中西進・大阪女子大学名誉教授。広島大学付属高校から東京大学に進んだ
100年を超える歴史が育んだ卒業生の厚みは、広大付属の強みのひとつだ。卒業生がつくる「アカシア会」は各地に支部がある。湯崎英彦・広島県知事や松田元・広島東洋カープ社長がOBであることからも分かる通り、地元広島県での人脈は特に分厚い。
遡れば、永野重雄(新日本製鉄初代会長、元日本商工会議所会頭)、桜田武(日清紡績元社長、旧日経連元会長)といった財界のリーダーがOB。ほかにも伍堂輝雄・元日本航空会長、福田真・みずほ証券元社長、山口信夫・旭化成元会長、金井誠太・マツダ元会長、松尾雅彦・元カルビー社長などのリーダーを輩出してきた。河野俊嗣・宮崎県知事も同校OBだ。
小説「夏の花」を書いた原民喜をはじめ、海軍提督3部作や「志賀直哉」などの小説で知られる作家の阿川弘之、沢田研二主演の映画「太陽を盗んだ男」を撮った長谷川和彦監督など、文化・芸能分野で活躍した卒業生も多い。スポーツ界には、長沼健・元日本サッカー協会会長や鬼武健二・元Jリーグチェアマンがいる。各界の女性の先駆者にも出身者がおり、キリングループ初の女性執行役員になった坪井純子氏はOGだ。
「本当にいろいろな生徒が集まってくる。互いの個性を認め合うから、さらにキャラクターの幅が広がる」と、鈴木氏は目を細める。ダイバーシティー(多様性)や女性活躍が重視されるなか、初の女性校長を迎えた広大付属。令和の新時代にも、地域の信頼と期待にこたえてくれそうだ。