「エアトリ」起業、大阪星光で聞いた神父の言葉が支え
吉村英毅・エボラブルアジア社長(上)

吉村英毅・エボラブルアジア社長
航空券や旅行商品をインターネットで販売する「エアトリ」などを運営するエボラブルアジアは、2007年に当時まだ25歳だった吉村英毅社長(37)が創業した。吉村さんは、大阪府にあるカトリックの男子進学校、大阪星光学院中学校・高校に在学中にビル・ゲイツにあこがれ、将来は起業すると心に決めていた。当時は起業の志を周囲に話すことはなく胸に秘めたままだったが、在学中に毎日聞いた神父の説教は、起業後の苦しい時期を支える言葉となったという。
(下)校則違反繰り返しても全否定せず 大阪星光の懐の深さ >>
きっかけはビル・ゲイツのウィンドウズ95だった。
「東大に入って、東大在学中に起業する」。大阪星光学院中学の2年生ごろ、僕はひそかに決心しました。
私が中学に入学したのは阪神大震災の直後の1995年4月。その年、米国ではビル・ゲイツのマイクロソフトがウィンドウズ95を発表し、一大旋風を起こしました。ビル・ゲイツはハーバード大学在学中にマイクロソフトを設立したことを知り、がぜん起業に興味が出ました。自分も大学在学中に起業しよう。彼はハーバードだったから、自分は東大だ。そう決めました。
起業家を志したのは、社会に影響力のある人間になりたいと思っていたからです。私は子どもの頃から本を読むのが大好きで、中学に入った頃には、世界の偉人の伝記のほか、山岡荘八の徳川家康とか織田信長などの本をよく読んでいました。歴史上の偉人たちのように、自分も社会に影響力のある人間になりたいと思っていた頃に、ビル・ゲイツが出てきたわけです。影響力をもつ方法は政治家とかいろいろあると思うんですけど、会社を興して大きくしていくのも、その1つの方法で、非常に魅力的なのではないかと思いました。
ビジネスに関心をもつようになったのは、実家が会社を経営していたことも関係しているかもしれません。父は130年以上続く食品メーカーで3代目の社長です。私は長男で、会社を継ぐのは私というのが既定路線。小さい頃は同居していた祖母の部屋に毎週呼ばれ、「あなたが会社を継ぐんですよ」と言い聞かされて育ちました。