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商社→金融業界→ベンチャー企業へキャリアチェンジ

実際に「非連続のキャリア」を歩んでいるAさん(40代)の事例を紹介しましょう。Aさんはもともと総合商社に勤務し、M&A(合併・買収)で取得した海外企業の経営管理を手がけていました。やがてファイナンスに関する幅広い知識が必要だと感じ、「机上の理論を学ぶだけでなく、実務を経験したい」と、金融業界へ転職。そこでM&AやIPO(新規株式公開)などに関連する資金調達の経験を積みました。ファイナンスの知識を深めた後、その知見を生かして再び事業に貢献したいと考え、ベンチャー企業にCFO(最高財務責任者)として転職。その会社をIPOへと導いたのです。

Aさんに「今後のキャリアビジョンをどう描いているのですか?」と尋ねると、「ファイナンスの責任者にとどまらず、より経営にコミットしたポジションで働きたい」という答えが返ってきました。実は昨今、Aさんのようなキャリアパスを経て活躍している人が大勢います。近年「CxO」(最高○○責任者)のポジションを置く企業が増えており、CFOのほかにも、CMO(最高マーケティング責任者)、CTO(最高技術責任者)、CHRO(最高人事責任者)など、様々なCxOがスペシャリティーを生かして経営を支えています。

CxOとして実績を上げた彼らのなかには、次のキャリアとして「同じCxOとして他社に転職する」というより、「COO(最高執行責任者)、CEO(最高経営責任者)を目指す」という志向を持つ人が多くみられます。彼らがよく使うのは「染み出す」という言葉です。「自分の専門領域から染み出し、徐々に守備範囲を広げて経営のコアに関わりたい」というような使い方をします。

一方、スタートアップベンチャーの採用においても、募集するポジション名が仮に「CMO」「CHRO」などだったとしても、実際には「その専門領域の役割だけ果たしてくれればいい」という話ではありません。専門性を生かしたコアミッションを持ちながら、広い視野で経営チームの一員として、経営そのものに参加してほしいと希望するベンチャー経営者が増えています。

経営層を例に取り上げてきましたが、それ以外の立場であっても、この傾向は共通するといえます。「一つの分野に特化して極める」ことを目指す価値観を否定するわけでは決してありません。しかし、将来的に転職を図る場合、選択肢が限られてしまう覚悟は必要です。

実際、一つの分野を極めてきた人が、AI(人工知能)に代表されるテクノロジーの進化に伴って起きたイノベーションにより、キャリアを生かす場を失うケースも出てきていますし、今後、その領域は多岐にわたると予想されています。

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