ビジネスの成否は選択で決まる 確率を味方にする発想
『「人生の勝率」の高め方』

せっかくの努力を徒労に終わらせないために発想の転換を促す1冊だ
多くの人が、人生で成功するためには「努力」が一番大切だと信じている。しかし、努力をしても報われないケースがしばしば起こることも事実だ。今回紹介する『「人生の勝率」の高め方』は、成功を手に入れるカギが「努力」よりも「選択」だということを丁寧に説明している。人生の勝負で勝率を上げるのに必要な思考法やテクニックを満載している本書は、ビジネスの戦略づくりにも参考になるはずだ。
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土井英司氏
著者の土井英司氏は、1年間に1000冊以上のビジネス書を読む「ビジネス書のプロ」です。日刊の書評メールマガジン『ビジネスブックマラソン』編集長として活躍しています。アマゾン・ドット・コムに勤めていたときには「カリスマ・ブック・バイヤー」と呼ばれました。その後、独立してエリエス・ブック・コンサルティングを設立。2010年にプロデュースした近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』は国内で158万部のベストセラーになり、アメリカ、イタリアをはじめ40カ国以上での翻訳が決まっています。
プロデュースする書籍だけではなく、自らも10万部を突破した『「伝説の社員」になれ!』などベストセラーを送り出しています。土井氏が次々と成功してきたのは「勝率の高い選択」を意識し続けてきたからなのです。本書では、自身が実践している「成功率を高める選択の方法」を詳しく解説しています。
選択する能力を身につける
「選択する力」を身につけて磨き上げることこそ、凡人が結果を出すための最良の方法です。つまり、みなさんの人生は「あなたがどこにいるか」「誰と付き合うか」「どんな選択肢の中にいるか」で決まってしまうのです。
最近はとくに情報化社会と言われ、たくさんの情報が世の中にあふれています。もはや常人が処理できるデータ量ではありません。ますます「選ぶ」ことが難しい世の中になったと言っていいでしょう。
このような世の中になると、個人の成果は、「選ぶ能力」で決まると言っても過言ではありません。では、いったいどうすれば「選ぶ」能力を身につけることができるのでしょうか。著者は、「魅力的じゃないもの」「難易度が高いもの」こそ最良の選択だと語ります。
(中略)
僕は基本的に「魅力的じゃないもの」「難易度が高いもの」を選ぶようにしています。
なぜ、「魅力的じゃないもの」「難易度が高いもの」を選ぶのかというと、多くの人が手を出さないからです。
本業や自信のあるジャンルであれば、「難易度が高いもの」。本業ではないジャンル(知識のないジャンル)であれば、「魅力的じゃないもの」を選びます。
なので、本業の出版コンサルティングであれば、「難易度が高い案件」を選ぶ。
けれど、たとえば「投資」は僕の専門外だし、僕には能力がないことがわかっているので、「魅力的じゃない案件」を選びます。
(第2章「選択基準」を明確にする 77~78ページ)
著者が「ビジネス書」に目をつけたのは、かつてはビジネス書が今ほど魅力的なジャンルではなかったからだと言います。当時は、小説や漫画などのエンターテインメントの本が主流でした。そこで「ビジネス書のジャンルなら、勝てる」と参入したのです。その結果、『人生がときめく片づけの魔法』が大ベストセラーになるという快挙を収めることができたと言います。