ビジネスの成否は選択で決まる 確率を味方にする発想
『「人生の勝率」の高め方』
成功率の高い先頭集団と付き合う
ビジネスや人生は、ひとりで完結するゲームではありません。あくまでチーム戦であり、そのチームの総合力で勝敗が決まります。ときにはチームメンバーに助けられ、ときには足を引っ張られる。だからこそ、成功したければ「成功確率の高い先頭集団と付き合う」ことが重要だと、著者は語ります。
当時、「Amazon」で書評を書いていた僕は、たくさんのベストセラー作家や担当編集者とお会いし、「やはり一流の人は成果を上げるだけの資質を持っているんだ」ということに気づきました。
(中略)
一流の人が持っている「成果を上げるための資質」は、おもに、次の「4つ」です。
(1)事実をありのままに受け入れる勇気がある
(2)合理的に大胆な策を採用できる
(3)関係者を動かすだけの情熱と説得力を持っている
(4)しつこい。簡単にあきらめない
(第3章 「キーパーソン」を味方につける 158~159ページ)
まず「事実をありのままに受け入れる勇気がある」とはどういうことか。仕事ができる人は、自分の仕事を愛しているため、仮に仕事上で自分の考えを否定されてもくじけずに、それを修正して、必ず最後には成果を上げます。これに対し仕事ができない人は、仕事よりも自分を愛しているため、仕事自体を攻撃されても、自尊心が傷つき、怒りに変わってしまうのです。その結果、事実をありのままに受け入れることができず、合理的な行動をとれなくなってしまいます。
次に挙がった「合理的に大胆な策を採用できる」ですが、このテーマを論じるときに思い出されるのは、ゴマブックスの会長だった故・羽山茂樹さんのエピソードだと著者は言います。同社には『ちびギャラ』という有名な絵本がありますが、あまりに感覚的な作品のため、持ち込まれた段階で、社内ではかなりの抵抗があったそうです。女性スタッフには大好評だったため、「これはどうしたものか」と悩んだそうですが、最終的に出版を決定づけたのは、羽山会長の「わからないから、やってみよう」という一言でした。
羽山会長は「自分の想像を超える作品の可能性に賭けてみる」という選択をしたのです。クリエーティブな仕事というのは、常に人と違うことをやってはじめて差をつけることができるものです。だからこそ、合理的に判断して「いける」と思ったら、仮にそれが未知のものであっても、チャレンジする勇気が必要です。
「関係者を動かすだけの情熱と説得力を持っている」。これは相手がいる話だけに極めて困難な課題です。出版でいうなら、著者からはじまり、編集者、営業担当、取次、書店員、読者、メディアに至るまで、情熱のリレーをつないでいかないと、ベストセラーは生み出せません。まず、あなた自身が「情熱」を持つことは大前提です。
最後に「しつこい。簡単にあきらめない」。大きな仕事は、さまざまな利害が絡んでいますから、話が大きくなればなるほどプロセスが複雑になります。なかでも難しいのは、その業界、会社の「キーパーソン」を落とす作業です。大きく商品を売るためには、各業界のキーパーソンを落とさなければいけません。しかしそんなキーパーソンは、往々にして気難しい人が多いのです。気難しいキーパーソンを落とすには、相手の気持ちをわかることです。著者は、「気難しい人には、気難しい理由がある。それは守っているものがある」からだと言います。
編集者からのひとこと KADOKAWAビジネス編集課・小川謙太郎
多くのビジネスマンは、自分の業務に対して真摯に向き合って、自己成長のために、企業のために尽力しているのではないでしょうか。しかし思ったように成果が出ていない、またなぜか、いつもハズレくじを引いてしまう人はいませんか。その努力は、決して悪いものではないのですが、本書で書かれているように、何に力を注ぐのかを選択をし、せっかくの努力を徒労に終わらないようにしてほしいと思っています。
著者は「選択した時点で結果の9割は決まっている」といいます。一番重要な勝つための選択を実践し、より豊かな生活を送れることを願って編集しました。ぜひ、熟読していただき、少しでもあなたのお役にたてれば幸いです。