SNSに炎上動画や同僚中傷 モンスター部下どう対処
フェリタス社会保険労務士法人代表 石川弘子(1)
社内の人間に画像が回っただけならまだしも、不特定多数が見るようなネット上に動画がアップされているとなると、大変な問題だ。ニュースで見たアルバイトの「バカッター」問題を思い浮かべたH坂は、真っ青になった。
*バカッター……ツイッターの利用者が自らの反社会的行動を世間に晒し出す行為。飲食店のアルバイトが業務用の冷凍庫に寝そべってはしゃぐ写真などを投稿して、店が廃業に追い込まれた事件などがある。
サイトの掲示板に会社の悪口を投稿
H坂は、すぐにT田の他の投稿なども確認した。すると、T田が別のサイトの掲示板に頻繁に投稿していることが判明した。その掲示板を覗いてみると、明らかにT田の書き込みと思われるものがいくつか見つかった。そこには、会社への誹謗中傷や同僚に対する悪口が書き込まれていた。一部は伏字になっているが、社内の人間が見れば明らかに自社のことで誰を指しているかが分かるような内容だ。
「同僚のR〇って女の性格がマジで最悪。更年期入ってるから、ヒステリー半端ない」
「〇子が宴会の写真にセクハラとかケチつけてきたらしい。オバサンのくせに自意識過剰だよな」
(こんなものが表に出たら大変だ。すぐに対処しないと)と不安になったH坂はすぐに人事部に相談した。人事部の社員が早速T田に聞き取り調査を行い、投稿はすべて削除させ、懲戒処分とした。
T田は最後まで不服そうだったが、最終的には「今後は仕事に関する投稿は一切しない」という誓約書をしぶしぶ提出した。
SNSトラブルを防ぐためにできること
社員のSNSトラブルが増加している。ちょっと考えれば、不特定多数の人が見るネット上に誹謗中傷や問題ある画像・動画等を投稿すればどのようなことになるか分かりそうなものだが、こういったトラブルはいまだになくならない。自身の言動が世間にどう見られるのかという感覚や、ごく一般的なモラルが欠如しているのだ。
最近は新入社員研修でSNSの使い方などを教えている会社もある。「そんなのは常識的に分かる」「ちょっと考えれば、どんなことになるか分かる」として野放しにしていると、思わぬトラブルに発展する可能性がある。事前にしっかりと対策を取っておくことが必要だ。
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