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特許知識を武器に、知財を掘り起こし

弁理士の資格試験に合格したのは2000年のことだ。受験を始めてから合格するまで、結局、約5年かかった。「合格する前年の99年、みんなから『今年は受かるよ』と励まされていたのですが、落ちてしまいました。それで、やはり働きながらの資格取得は難しいと感じ、2000年に勤めていた特許事務所を辞めました」

背水の陣で臨んだことが功を奏したのだろう。その年の試験で合格。振り返ると、特許事務所に勤務した経験は、本田氏にとって「とても重要だった」と語る。

「特許出願は期限との勝負です。例えば、特許庁から『これこれ、こういう点で特許になりません』という指摘があった場合、60日以内に書面で応答しなくてはなりません。その内容を即座に分析し、『可能性としてはこういう方向性があると思います』と依頼主である出願人に伝えなくてはならないのです」

特許庁から指摘を受けると、その日にすべきことの優先順位がガラリと変わってしまう。「不安で夜中に目が覚めたことは何度もあります」と語る。「迫る期日のなかで情報を整理し、分析し、解を出す訓練を短期間で多く積むことができました」

弁理士登録をしたのは東大TLOの前身、先端科学技術インキュベーションセンターに入った2001年だ。同センターに興味を持ったのは、あるセミナーに参加したことがきっかけだったという。

「セミナーの後、日本の大学も政策的に技術移転を促進していくという話を耳にしました。特許事務所でインターンシップをしていたときから、研究成果を特許化することに関する、日米の意識の差を感じていましたから、それを聞いて、日本もいよいよ動き出すのだなと思いました」

ただし、当時は弁理士をフルタイムで雇用する組織体制ではなかったので、入社してしばらくの間は特許事務所に籍を置きながら、兼務で働いていた。「その頃はメンバーもまだ特許について詳しいわけではなかったので、それをサポートする仕事がメインでした。研究者のところへ研究成果をヒアリングしに行く際、一緒に付いていったり、特許になるかならないのかについてアドバイスしたりしていました」

特許に関する知識があるのとないのとでは、話の引き出し方も違ってくるという。「研究者は自身の技術の全容を説明しようとしますが、特許を意識した場合、どこまでが公開されていて、どこからが新たな知見(独自の発明)なのかという観点でヒアリングをしますから」

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