「なぜあいつが高評価」 実は公平な人事はありえない
20代から考える出世戦略(68)

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出世を語るこの連載ですが、出世の現場では必ず「なぜあいつが」という言葉が聞こえてきます。その裏には「公平」ではないことへの不満が語られますが、人事の公平さとはどういうものなのでしょう。
人事の公平さとはなにか
出世を決める際には、一般的に以下のステップを踏みます。
(2)人事や経営層による判断
この中で(1)過去の評価履歴や上司推薦について、こんな言葉をよく耳にします。
「毎年毎年の評価では、上司のお気に入りが評価されます。そりゃ数字はあげているかもしれません。けれども、数字をあげやすい部署をまかされ、しっかり支援もされていれば数字はあげられますよ。私なんていつも厳しい部署で、支援もないんですから数字をあげられるはずがないんです」
「だから評価が低いのは間違っている?」
「そうですね。そもそも人事評価制度って何の意味があるんですか? 上司の好き嫌いで役割が決められるんだから、結果を評価される仕組みになんて意味がないでしょう」
こんな指摘に対して、あなたはどう思いましたか?
次に(2)人事や経営層による判断については、こんな言葉を耳にします。
「会社は結局YESマンが欲しいだけなんですよ。普段から会社批判をしている私は管理職になれないんです。いや、なりたいわけじゃないですよ。けれども会社を良くするためには改革が必要でしょう。なのに現状肯定をする後輩たちがどんどん上役になるのは気持ちよくはないですよね」
「あなたに権限を与えない会社が間違っている、ということでしょうか」
「その通りです。私が経営者になれば会社はもっとよくなりますよ」
さて、あなたはこの人が経営者になれば会社は良くなると思いますか?
あなたの「公平」の基準はなに
私は30年近い年月の中で170社以上の人事制度を設計してきました。直接関わったビジネスパーソンの人数は数万人程度ですが、出世の基準を設計する観点でお付き合いしてきたという点で、少し変わった視点で語れると思います。