転職者の実力を暴く面接 「例えば」と重ねて問う理由
ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行

実績や経歴などの「過去データ」が採用を決めるわけではない。写真はイメージ=PIXTA
転職経験がない中高年世代の転職では、基本的なセオリーを知らないまま面接に臨んでしまい失敗するケースが起こりがちです。採用する側にとっても、自社で活躍してくれる人かどうかをいかに見極めるかは、組織にとっての重要テーマです。
勘頼みの面接からミスマッチが生まれる
エン・ジャパンが運営するサイト「入社後活躍研究所」の記事によると、自社で活躍してくれる人を見極め切れない面接の特徴として、ビジネス・ブレークスルー大学の川上真史教授が2つのポイントを挙げています。
・面接の合否判定が、勘や直感で行われていること
現実には採用選考の基準が科学的に探究されておらず、「なんとなくこの人いいな」という感じで合否が決まってしまうという現象があまりに多くなっています。対話によって、構造化された情報を取得して判断するわけではなく、無目的な質問をして、被面接者が話している雰囲気や中身を聞いて直観的に判断しているだけということです。
見極め精度を高めるために大切なことは「主観」や「直観」による判断ではなく、「事実を正確に観察することによる判断」に切り替えていく必要があるといいます。自分の直観や過去の経験に基づいて判断するのではなく、できるだけ多くの事実情報を集め、その事実情報だけを見て判断してみるということが、「観察」による判断ということです。
典型的な従来型の面接は、候補者が"優秀"かどうかを見極めようとするもので、有名大学を卒業しているとか、業績を上げた経験があるとか、専門的な知識を豊富に持っている、などの確認が主な作業となっていました。しかし近年では、これらの選考観点が、入社後の活躍度合いに直結しないということがわかってきたようです。
結果的に採用そのものがミスマッチとなり、企業にとっては「期待はずれの人材を採用してしまった」、求職者にとっては「自分が生かされない会社に入社してしまった」という、不幸な結果が大量に生まれています。