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もう1つの方法は実証実験をすることです。たとえば1万回の実験をやってみて成功率が10%だったとしても、1000回成功したら1000の学びを得ることができます。オンラインビジネスにおいては、この小さな改善の積み重ねが大きな結果を生むのです。1億人のユーザーから2~5%多く収入を得ることができれば、数百億ドルの売り上げ増加につながります。コストや効率を考えれば、実証実験のほうが効果的なのは明らかでしょう。

「カイゼン」は日本発の価値あるコンセプト

トムケ氏の新刊「EXPERIMENTATION WORKS: The Surprising Power of Business Experiments」(2020年2月刊行予定)

トムケ氏の新刊「EXPERIMENTATION WORKS: The Surprising Power of Business Experiments」(2020年2月刊行予定)

佐藤日本人は「カイゼン」が得意ですが、この国民性をどのように実証実験の活用に生かしていったらよいでしょうか。

トムケ 「カイゼン」を得意とするのは素晴らしいことです。私は今も授業でカイゼンを教えていますし、日本人が生み出した価値あるコンセプトだと思っています。

今、日本人にとって重要なのは、「何をカイゼンすべきか」を見極めることだと思います。カイゼンポイントを的確に定め、迅速に実行することです。私はこれを「実証実験による高速カイゼン」と呼んでいます。これはアマゾン、マイクロソフト、グーグルが日常的に行っていることです。そうすれば、失敗に一喜一憂することもありません。

日本の皆さんにはぜひ私の本を読んでいただき、実証実験の価値を実感していただきたいと願っています。

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ステファン・トムケ Stefan H. Thomke
 ハーバードビジネススクール教授。専門はマネジメント。同校のエグゼクティブプログラムにてイノベーションマネジメントを教える。オペレーションの改善やビジネスモデルの改革に有効な「ビジネス実験」について研究。野村マネジメント・スクールが開講する「トップのための経営戦略講座」でも教える。これまでに100本を超える論文、リポート、教材と2つの著書を執筆。2020年2月に最新刊「EXPERIMENTATION WORKS: The Surprising Power of Business Experiments」(Harvard Business Review Press)を出版予定。

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