変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「時間・場所にしばられず働きたい」というニーズ

一方、フリーランス・ICといった働き方を選択する人に目を向けてみましょう。彼らがこうした働き方を選択する理由。その多くは「時間・場所にしばられず、生産性が高い働き方がしたい」というものです。

育児や介護、あるいは趣味の活動を重視したい。しかし会社組織にいれば、さして重要でもない会議に出席したり、部下のマネジメント・評価に頭を悩ませたりと、「専門業務」以外に時間を割かなくてはなりません。それらを排除し、自らの専門スキルを生かす仕事に集中して、時間あたりにすると高単価の報酬を得よう――ということです。

例えば、「これまでは趣味でやっていた音楽活動を本格的にやりたい」「トライアスロンが趣味で、海外の大会に出場するため長期の休暇を取りたい」といった理由でフリーランスに転向した人がいます。そうした「二足のわらじ」的な生活をしようとすると、以前なら「アルバイト」「派遣社員」が主な選択肢でした。しかし今は、それよりもレイヤーが高いポジション・仕事内容で「業務委託」として働く人が増えているというわけです。

また、ある経営コンサルタントは「子供を自然豊かな環境でのびのび育てたい」と、地方への移住者優遇制度を活用して家族で離島へ移住。ご本人は2カ月に1度程度、東京に来ては、1カ月ほど滞在してプロジェクトに携わり、普段はリモートで対応するというスタイルで働いています。

「複数の会社で、幅広い経験を積みたい」という選択

フリーランスやICという働き方を選択する人たちの理由は「働く時間・場所を自由に」ということだけではありません。「専門職としての経験値を高め、スキルを磨き続けたい」という声も聞かれます。「一つの会社に属しているよりも、複数の会社を経験するほうが、バリエーションに富んだプロジェクトを経験できる」「単一モデルではなく、複数のモデルの知見を得られる」ということです。

あるいは「成長ステージ」にこだわる方もいらっしゃいます。例えば、「立ち上げ」のフェーズで一から仕組みをつくることにやりがいを感じている人は、「運用」フェーズに入ったら、後任者に任せ、自分は次の「立ち上げ」に取り組む――。そんなサイクルを「転職」ではなく、「業務委託」というスタイルで実現しているのです。

フリーランスやICとして活動する人の年齢層は様々ですが、IC協会の会員については40代後半が中心だそうです。50代の人たちも大勢が活躍しています。

「役職定年になったのを機に、ICに転向した人、役職定年を見越して少し前からICとして活動を始める人もいます。最近では役職定年後に半分は会社勤務・半分はICとして活動するという人も見られるようになりました」(池照さん)

なお、報酬については、「時給制」も一部にあるものの、プロジェクト単位で支払われるケースが多いようです。当然ながら業務の負荷によって金額が異なりますが、目安として「週1回出社・随時リモート対応・月20万円」といった例が見られます。活躍しているフリーランス・ICは、そうした契約先を複数持ち、比較的高い年収を実現しています。

池照さんによると、「収入は二極化している。年収数百万円の人もいれば、業務委託や顧問を掛け持ちして数千万円を稼ぐ人も少なくない。自身の稼働や収入レベルも自らで設定するのがICの働き方」とのことです。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック