企画・人事・経理に広がるフリーランス 稼ぐ人の条件
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
フリーランスに向く人のスキル、人柄とは?
では、フリーランス・ICに向くのはどんな人なのでしょうか。こうした働き方で活躍している人の特性・志向としては次のようなものが挙げられます。
・複数のスキルを持ち、掛け合わせて生かしている
1種類の専門スキルを持つ人は大勢いても、別のスキルを掛け合わせることで「希少人材」として価値を発揮できます。
「専門スキルに、『+英語』『+プロジェクトマネジメント』『+経理』など、プラスアルファを持っている人が活躍しています」(池照さん)
・メリハリをつけ、セルフコントロールができる
「ICには労務管理をしてくれる人がいません。24時間・365日働ける身分ですので、働きすぎて身体を壊してしまう人もいるのが実情です。自律的に時間や仕事時間のメリハリをつけることが継続のカギとなります」(池照さん)
・意思決定力がある
依頼を受けたとき、それを受けるべきか受けないべきか。メリット・デメリットを踏まえ、中長期視点も持って判断する必要があります。これまで上司の指示に従って仕事をこなしてきた人は、その意思決定にハードルを感じることもあります。
「ICは『仕事をいただこう』というスタンスではありません。ニーズに応じて、自分でプロジェクトを創り出し、スピーディーに決断し、自ら推進していきます。『常に意思決定者である』という点が、ICという働き方の大きな魅力だと思います」(池照さん)
・「孤独」に強い
会社を辞めてフリーランスになったものの、孤独感を抱いてしまう人もいらっしゃいます。「組織に守られている安心感」「周囲に仲間がいる環境」が恋しくなり、再び正社員として就職する人も見受けられます。
しかしながら、池照さんは「ICのありようは、世間がイメージするような『一匹狼』とは限らない」と言います。「私自身よく言われるんです。『組織がわずらわしいからICになったの?』と。でも実際には私自身も様々な人・企業・団体とコラボしているんです」
「IC同士で手を結ぶこともありますし、NPOと一緒にプロジェクトに取り組むこともあります。プロジェクトを立ち上げるとき、起点となるのは企業より、ICのほうがスピードが速い。今後、ICが起点となってコラボレーションを推進し、企業では生み出せないような価値を創出していくのではないかと、私は想像しています」(池照さん)
今は副業(複業)解禁が進んでいます。「複数の会社で働く」が当たり前になる時代に、転職を考えたとき、「別の会社で正社員」と「フリーランス・IC」という選択肢をごく自然に両天秤にかけるようになっていきそうです。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
