変革に一直線 ラクスル松本氏の「志」とISAKの学び
UWC ISAKジャパン 小林りん代表理事(8)
小林氏は「松本さんの本当にユニークなところは、『仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる』という創業当初からのビジョンを心から信じて、決して立ち止まらないことです。このビジョンの遂行を『使命』として、自らに課しているのです」と話す。ラクスルは実際、印刷業でのプラットフォームが一定の規模に達すると広告業、そして運送業へと次々に効率の低い分野に切り込むサービスを展開している。
スタートアップ崩壊寸前、「修羅場」を経験
小林氏は「松本さんを見ていると、私たちが大切にしている『問いを立てる力』の申し子のようにさえ感じます。いくつかの修羅場を経て『困難に挑む力』も抜群に磨かれているようです。09年に起業したときは、(トップ自ら細かいことに口を出す)マイクロマネジメントで感情の起伏も激しく、周りの人たちはもう大変だったそうです(笑)。13年から14年にかけては、チームがほぼ崩壊状態になったと聞きました」と話す。
そんなふうにして消えていったスタートアップも少なくないだろう。「ところが、松本さんは『1人でマネージしていてはだめだ、自分より優秀な人にきてもらってチーム経営しないといけない』と気づいて、しかも実践し切ったんですね。ラクスルは今、多彩な異能人材の集まるチームがリーダーシップをとる形で経営されています。まさに『多様性を生かす力』が、松本さんたちの次なる成長を支えていくのではないでしょうか」(小林氏)
小林氏と松本氏は、ともに「ダボス会議」を主催する世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダー」に選ばれており、シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」の理事も務める。小林氏は「半ば運命的なものすら感じる同志です。本業でも本業の外でも、一緒に愚直に社会変革に挑んでゆくような。これからも彼の3つの力に学ばせてもらいたいです」と話す。
卒業生、米名門大に進学続々 「大学行かない」選択も
19年6月に開いたUWC ISAKの卒業式――。3つの力を培った3期生が巣立った。その進路には、米国トップクラスの難関大学として知られるエール大学やペンシルベニア大学のほか、ブラウン大学、カリフォルニア州立大学バークレー校といった名門校が並ぶ。