TikTokは何を生んだ インフルエンサー経済の未来
青山ブックセンター本店
このような魅力の分析から始まって、TikTokが日本や世界でどのように受け入れられていったか、TikTokが中国で生み出しているものは何か、それが日本で広がると何が起きるのかを考察していく。日本ではやったmixi(ミクシィ)以来のSNSをほぼリアルタイムで体験してきたという著者の感覚が、考察と分析に新鮮な視点を与えている。
そこから見えてくるのは、無名の個人でもインフルエンサーになり、強い発信力と影響力を持ち得るインフルエンサー経済の世界だ。中国では既に大きな広がりを見せているこの世界が日本を含めた他の国でも現実になる。そうなるとマーケティングやメディア、オンラインとオフラインの関係も変わっていかざるを得ない。アフターデジタルの世界を考える上で示唆に富む情報が詰まった一冊だ。「発売1週間ほどでランキングに入ってきて、2週にわたって上位を占めている。SNSがテーマの本は最近特に関心が高い」と、10月にビジネス書担当になったばかりの本田翔也さんは話す。
人気ファッションブロガーの働き方本が1位に
それでは先週のベスト5を見ておこう。
1位はファッションバイヤーで人気ファッションブロガーの著者が幸せと成功を手に入れる仕事術について語った本。2位も働き方を巡る本で、サイボウズの副社長が経験をもとに「どうすればマネジャーの仕事を減らせるか」という問題意識で組織について考えた内容だ。3位の本は、ビジネス書で多くのファンを持つ本田氏とサウナの普及に努める松尾氏の2人が「ビジネスに効くサウナ術」を説く。今回紹介したTikTokの本が4位。5位には、息の長い売れ筋の『Think clearly』が入った。
(水柿武志)