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利害関係者の顔色をうかがいすぎない「信念ファースト」

ステークホルダーが多ければ多いほど、自分たちのミッションや信念が大事になってくるのは、他のビジネスでも同じだ。

「失礼な言い方かもしれませんが、ステークホルダーさんに合わせるのではなく、自分たちが信念をもって貫いていかなければいけない。逆になると、結局、何のための仕事かわからなくなってしまうと思います」

事務局長としてBリーグ立ち上げに奔走した葦原氏だが、現在はJBA理事として国際バスケットボール連盟(FIBA)とのパイプを強化する役割を担う。東アジアバスケットボール協会(EABA)の理事として、日本バスケットボール界の国際化にも取り組んでいる。

八村塁選手のNBA入りがニュースで取り上げられるなど、最近、バスケットボール界が急速に盛り上がっている要因について尋ねると、「もともと持っていたポテンシャルが大きいうえに、当たり前のことを当たり前にやったからじゃないでしょうか」という答えが返ってきた。

それが可能になったのは「川淵氏が旧勢力を一気に整理し、新しい組織形態を作ってスタートさせたから」と分析。加えて、「若い人やチームが本当によく頑張っていると思います」と葦原氏は語る。

「川淵さんから受けた影響は大きいです。ビジョンがあるのはもちろんですが、きちんと論拠も添えて話してくれるのでわかりやすい。こんなことを言うと失礼かもしれませんが、『人たらし力』がすごい」

すでにBリーグから離れている川淵氏が語った言葉で印象に残っているのは、「わかった」「ありがとう」「何か困ったことがあったらオレに言え」の三つだ。

「言えそうで言えないことを、嫌味なくサラリと言うんです」

Bリーグのロゴを最初に見せたとき、川淵氏は微妙な表情をしたという。しかし、サーベイの結果を見せながら説明したら、結局、言ったのはこの一言だけだった。

「俺はすぐにいなくなる。君たちはあと20年、30年、これで飯を食うんだから、君たちが決めればいい」

「今でもたまに思います。『川淵さんだったら、こういう時にどう対応するのかな』と」

早くから夢見たスポーツビジネスを歩んでこられたのは、出合った人かrの導きが大きかったと振り返る

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中学3年生の時にスポーツビジネスの道に進もうと考え、それを貫いてきた葦原氏。そのキャリアの分岐点にはいつも「人」がいた。学生時代に知り合い、「すぐにスポーツ界に入らず、まずはコンサルティング界で経験を積め」と教えてくれた鈴木友也氏。プロ野球・横浜DeNAベイスターズに転職するきっかけとなった前沢賢氏。3番目の出会いがBリーグ初代チェアマンの川淵氏だ。

強烈なインパクトを放つリーダーたちと次々に出会い、その影響を受けつつステップアップを続けてきたのが、葦原氏が歩んだキャリアの軌跡とみえた。

(ライター 曲沼美恵)

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