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より良い意思決定を導く「システム思考」

こうした複雑さによる意思決定の困難さを克服する手段として、注目を集めているのが「システム思考」です。

例えば経済産業省が2019年6月に公開した「2019年版ものづくり白書」においても、「機能や業務をモジュール化し、全体最適を図る『システム思考』の人材も必要となる」と記載されています(*2)。事業あるいは企業の変革を果たせるようなモノ(製品)やコト(サービスや体験)づくりを実現するための方法として、システム思考が期待されているわけです。(*2 2019年版ものづくり白書、第3節 世界で勝ち切るための戦略-Connected Industriesの実現に向けて-

その背景には、あらゆる物事が複雑になっていること、言い換えれば「社会の複雑化」があります。今は第4次産業革命の最中とされており、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボットがより身近な分野まで実用化されつつあります。この高度にシステム化されつつある社会に対応するためには、「複数の要素が協働する総体(システム)を俯瞰的かつ適切に理解してモデル化し、その目的を達成するために最適な判断を下す方法」が求められています。これこそが、システム思考が今注目を集める理由です。

システム思考の考え方をごく簡単に説明しましょう。まず、システムを俯瞰的に捉えて、その目的やシステムへの要望をきちんと理解します。自分の目的や顧客の要望をきちんと把握し、実現するモノやコトにおける「必須の機能(機能要求)」と「できれば実現したいこと(非機能要求)」に分けます。そのうえで、機能要求を実現するのはもちろんのこと、コストに応じて非機能要求を取り込むようにするのです。

機能要求と非機能要求というのは、具体的に言うとどんなことでしょうか。出張や旅行で飛行機に乗る場合を考えてみてください。多くの人にとって、必須の機能は「安全である」「目的に着く」「時間に間に合う」でしょう。ただ、別の人にとっては、「快適である」が不可欠で、ファーストクラスやビジネスクラスでないとダメかもしれません。また、別の人にとっては、なにより「料金が安い」が重要かもしれません。これらは一般には非機能要求であると言えますが、機能要求か非機能要求かは人によって、言い換えれば顧客によって変わってくるのです。

「機能要求」か「非機能要求」かは、人によって変わってくる

「機能要求」か「非機能要求」かは、人によって変わってくる

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