わがままは社会良くする契機 モヤモヤを言葉にしよう
人生の景色が変わる本(9) 『みんなの「わがまま」入門』
要点3 「わがまま」の背景と理由を深く知る
どれほど突飛に思える「わがまま」でも、頭ごなしに否定してはいけない。なぜなら、その人の常識や倫理観、知識の有無などにより判断は変わるから。例えば「生活保護費を娯楽に使う」ことを、想像力が及ばないせいであっさりアウトと考えたりする。大事なのは「わがまま」の背景と理由を深く知ること、その上で意見を出し合い、互いの理解を深めながら判断すること。多様な考えをぶつけ合うこと自体に大きな意味がある。
要点4 「わがまま」を遊ぼう。まず大勢を巻き込む
身辺のモヤモヤを言葉にして課題を明確にし、皆と共有したら「わがまま」行動開始。しかし、いきなり権限を握る相手(先生や役所)に直接訴えるのはNGだ。学校への不満ならOBやOGの会合で、街の問題なら住民が集まる場所でデモをしたりビラを配ったりする。相手に合わせて伝え方を工夫するなどして、まず周辺の関係者を味方につける「愛着の動員」から始めるのがコツだ。最初は誰でも"ビビる"し友達の目が気になったりもするが、気負わずに「わがまま」を遊ぼう。楽しいからやる、つらくなったらやめるでOK。
要点5 次のステップは人のための「おせっかい」
自分のための「わがまま」を、他人のための「おせっかい」に発展させることも考えていきたい。よそ者だからこそ貢献できる場面はたくさんある。痴漢やハラスメントの被害者、放射能汚染の風評被害に苦しむ生産者の支援などは代表的だ。当事者ほど「わがまま」を言いにくいし、傷ついたせいで元気を失い、自己主張をするどころではない人もいる。彼らにとって、外部の協力者はかけがえのない助けになる。
(手代木 建)
[日経ウーマン 2019年11月号の記事を再構成]