全員で不満ぶちまけ業績回復 部下立て直すリーダー力
ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニー代表取締役プレジデント 海老原育子氏(上)

ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニーの海老原育子代表取締役プレジデントは300人弱の社員を率いる立場だ
業績が落ち込んだときにこそ、リーダーの実力が試される。ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニー代表取締役プレジデントの海老原育子さんは「事業を立て直せるかどうかは、社員が自信を取り戻せるかどうかにかかっている」と言う。米スリーエム時代、全員参加の「不満大会」を開き、ビジョンを共有して日本のヘルスケア事業を立て直したのが海老原流マネジメントの原点だ。
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海老原氏は外資系企業でキャリアを重ねてきた。米スリーエムでの勤務を経て、2013年帰国し、ジョンソン・エンド・ジョンソンに転職。ビジョンケアカンパニーの最高執行役員(COO)などを歴任した後、16年2月、代表取締役プレジデントに就任した。
キャリアの転機になったのは、米スリーエムにいた06年、日本のヘルスケアビジネスの立て直しを命じられたことだ。「マネジメントを深く考えたという意味では、当時の経験が非常に大きかった」と語る。
「事業が落ち込んでいる時と回復した時を比べた場合の一番大きな違いは何かと言うと、社員が自分たちのやっていることに対して自信を持っているかどうかです」と海老原氏。
売り上げが落ちているときは、社員のフラストレーションも溜まっている。互いを攻撃し合い、できない理由を山のように語り続けてもいる。「まずは、それを吐き出させてあげることが重要だと思いました」。
フラストレーションが溜まる原因をひっくり返すと、本来、あるべき姿になる。上司から部下まで全員参加の不満大会を開き、まずは現状への不満やいらだちを言葉にして吐き出させた。すると、ごく自然と、どうありたいかという理想も見えてきた。
「理想と現実のギャップがつらいわけですから、理想に向かって進めるスローガンを言葉にして設定すると、案外、多くの人が納得してくれました」