「理路整然・分かりやすく」で組織導く 説明に全力
PwCジャパングループ 木村浩一郎代表(上)

PwCジャパングループの木村浩一郎代表
世界4大監査法人グループのひとつPwCグローバルネットワーク。その日本でのトップを務めるのがPwCジャパングループの木村浩一郎代表だ。監査法人やコンサルティング会社、弁護士法人など、グループ法人は主なものだけで13を数え、従業員数は約8100人、業務収益は1647億円に上る。それぞれ分野が異なり、高い専門性を備えたグループ各社をまとめるのは一筋縄ではいかない。木村代表は「しっかり理解して、納得してもらうために、リーダーには全力を尽くす義務がある」と話す。
(下)けんかも反対も不可欠 決断して前進するのが私の仕事 >>
――グループを束ねる上で心がけていることはありますか。
「自分で全部やろうとしてはいけないということです。私は2016年に監査法人のトップからグループ代表となり、監査法人だけでなくコンサルティングや税理士法人、M&A(合併・買収)や事業再生などを手掛けるアドバイザリーなど、全体を見ることになりました。知らない分野については、自分だけでは正しい判断はできません。自分で全てカバーしようと思わずに、いろいろな人から情報を得ることが重要だと強く感じました」
「グループのトップ会議でも、自分のできない部分をオープンにして、足りない部分については力を貸してもらうという姿勢でやってきました。メンバーは多様なので、強硬な反対意見が出ることもありますが、理路整然と話をします。英語で『アグリー・トゥー・ディスアグリー』と言いますが、議論では『どこまで話してもこの点については意見が違うね』という合意をするのです。しかし、組織として結論を出さなければならないので、最後は私が決断します。私個人ではなく、組織の意見として決めるのです。その際の判断基準は『正しいことをする』ということです。私の信じる『正しいこと』だけでなく、PwCにとって『正しいこと』です。PwCの価値観を基に決断しなければ、皆に理解してもらえないからです」
「PwCは『パーパス』と呼ぶ自らの存在意義を『社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する』と定めています。これは監査の結果として財務諸表の信頼性を担保するという、我々の仕事の根幹につながります。つまり、信頼を付与するプラットフォームを用意することで貢献しようということです。信頼構築が私たちのビジネスの領域なのです」