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「アメリカの大学の場合、出願の締め切りはだいたい11月上旬と1月初旬の2回あります。本校の場合、2学期が始まるとまず文化祭があり、10月には中間試験があり、12月には期末試験があります。その合間を縫って海外大学への出願書類を完璧にしなければならないので、高3の2学期は大変忙しくなります」(豊島さん)

それでも「IT関係で起業したいので、コンピューターサイエンスと経営学の両方を専攻したい」などという願いをかなえるために海外大学に挑戦する生徒がいるのだという。米国の大学には「学部」という概念がなく、分野に関係なく専攻・副専攻を選択できる。2つの分野を主専攻とするダブルメジャーも可能なのだ。

「ちょっと前の卒業生にはこんな生徒もいました。その子は一般入試で中学から入学したのですが、同じクラスにいる帰国生同士が英語で話しているのを見てそれに憧れて、海外で学びたいと思うようになり、ものすごい努力をして見事アメリカの一流大学に合格しました」(豊島さん)

帰国生が海外大学へ進学するだけでなく、帰国生に影響されて一般生も海外大学進学を視野に入れられる環境が渋幕にはあるのだ。

「創立の比較的早期から海外大学への進学者が出て、それが続いたことが大きいと思います。彼らがときどき学校に戻ってきて、海外の大学の話を直接生徒にしてくれます。それが大きな刺激になっているのでしょう。いまでは当たり前のように海外大学進学が渋幕生の進路の選択肢の一つになっています」(豊島さん)

年1回行われる海外大学進学説明会には直近で約250人の参加者があった。中1・2が多い。15年ほど前には高2・3を中心に70~80人集まる程度であったというから、5~6年後にはさらに海外大学合格者が増える可能性がある。

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(千葉市)
創立は1983年と新しいが、飛ぶ鳥を落とす勢いで進学実績を伸ばし「渋幕の奇跡」と呼ばれる。高校からの入学枠もあり、高校の1学年は約350人。2019年の東大合格者数は72人。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の直近5年間(2015~19年)平均は108.6人で全国11位。海外大学合格者数の多さも有名。卒業生には、俳優の田中圭氏やアナウンサーの水卜麻美氏、サッカー選手の田中マルクス闘莉王氏、落語家の立川志の春氏などがいる。

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新・男子校という選択 (日経プレミア)

著者 : おおたとしまさ
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 935円 (税込み)

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