たどり着いた「お母さん型リーダー」 耳傾ける大切さ
サンリオエンターテイメント 小巻亜矢社長(下)

サンリオエンターテイメント社長 小巻亜矢氏
ハローキティなどサンリオのキャラクターのテーマパーク「サンリオピューロランド」(東京都多摩市)は長く業績が低迷していたが、2016年度から黒字に転換した。歌舞伎との異色コラボなど大人ファンを集める仕掛けが新しいファン層を掘り起こしたのだが、その先導役であるサンリオエンターテイメント(同)の小巻亜矢社長は、実は経営の経験もなくエンタメ業界も初めてだった。経営再建というチャレンジに直面したとき、小巻さんを助けたのは、かつて学んだコーチングだった。耳を傾け成長を促すという小巻さん流「お母さん型リーダーシップ」とは。
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――コーチングを学んだのは、経営のためではなかったそうですね。
「ピューロランドにやってくるまで、経営者になるなんて、まったく考えていませんでした。コーチングを学んだのは2つの理由からです」
「1つは、化粧品販売の仕事をしていたときに全国で出会った女性たちの悩みを聞いたことでした。新卒で就職したサンリオを結婚退職したあと、しばらく専業主婦で育児に専念していましたが、次男を事故で亡くしました。どん底のつらさのなか、離婚したため、仕事に復帰しました。化粧品販売の仕事を始めたのです。化粧って、女性の悩みをあぶりだすようなところがあるんですね。肌の悩みの裏には、実は女性たちの生活にまつわるいろいろな悩みがあるわけです」
初対面なのに打ち明けてくれた
――化粧品の相談をしながら、普段話せないようなことも話してしまう。女性なら経験があるでしょうね。
「そうですよね。初対面なのだけど、例えば、借金をしているとか、夫婦関係で悩んでいるとか、いろいろ聞く機会がありました。私も若かったし正義感も強いせいでしょうね。のめり込んで相談に乗ったりしていましたが、結局私が話を聞いたところで解決できない。カウンセリングをちゃんと学びたいと思ったのが、最初のきっかけでした。もう一つの理由は、子育てです」