医学部進学の名門 東海、生きる「僧侶養成校」の伝統
東海中学・高校(上) 教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

お弁当を食べる前に毎日合掌し「食作法」を唱和する=東海中学校・高等学校提供
(中)「本当に医学部でいいか」 名門東海は生徒を迷わせる >>
国公立大学医学部合格者数ダントツ1位
国公立大医学部合格実績で他校を寄せ付けない圧倒的な数字を残している高校がある。灘でも開成でもラ・サールでもない。名古屋にある東海中学校・高等学校だ。卒業生には、「今でしょ!」の林修氏、ニュースキャスターの木村太郎氏、作家の大沢在昌氏、元総理大臣の海部俊樹氏らがいる。男子校だ。
2015~2019年の国公立大医学部合格者数を平均すると、年あたり114.6人が国公立大学医学部に合格しており、2位の灘86人を大きく突き放している。2019年には東大に37人、京大に40人、私立大学医学部に98人の合格者を出している。
週刊誌などでもてはやされる東大合格者数ランキングでは15~20位くらいになるので全国区で注目されることは少ないが、実は東大・京大・国公立大医学部という最難関国立大学の合計合格実績では、全国で3本の指に入る驚異的な進学校なのである。
創立は1888年。全国に官制のいわゆる旧制中学ができていく時期に、浄土宗としても独自の「ナンバースクール」を全国につくった。その「第一中学」に当たるのが東京の増上寺に隣接する芝中学校・高等学校であり、建中寺に隣接する東海は「第四中学」に相当する。当初は僧侶の養成学校だったが、1910年から一般生も受け入れるようになった。
同じ宗門校として、東海と芝はいまも、移住による転校生を相互に受け入れる関係にある。熊本の鎮西中学高等学校と大阪の上宮中学校・高等学校も同様のいきさつでつくられた学校だ。
お弁当の前に合掌し「食作法」
4限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。メロディーが独特だ。「月影の いたらぬ里は なけれども 眺むる人の 心にぞすむ」という法然上人の歌が鐘の音になっているのである。