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ちなみに講堂は1931年(昭和6年)に建てられたもので、国の登録有形文化財に指定されている。最高の会場だ。

「この講堂は、1944年の東南海地震にも耐えました。いま88歳でこの通り現役です。しっかりつくり込めば100年もつということです。しかも天井が波打つような形になっており、壇上でマイクなしで話をしても隅々まで声が届くようになっています。マイクのなかった時代でしたから、人間の身体に合わせて緻密につくられたのでしょう。『時間に追われてやっつけ仕事をするんじゃないよ、機械に頼っていてもダメなんだよ』と我々に教えてくれています。講堂は、最高の教材です」と高校教頭の西形久司さんは言う。

年々上がる期待に応え続ける

2019年の10月に予定されていた公演は台風の影響で11月に延期された。公演前日の講堂の様子をのぞいた。すでに名古屋工学院専門学校が運び入れた音響・照明設備がセットされ、舞台裏には豪華絢爛(けんらん)な衣装が所狭しと並んでいる。本番さながらのリハーサルはとっくに終えていて、あとは幕が上がるのを待つばかりである。演目は「スカーレットピンパーネル」。

インタビューに答えてくれた団長の前津瑳佑さん

インタビューに答えてくれた団長の前津瑳佑さん

団長の前津瑳佑さん(高2)に話を聞いた。

――どうしてカヅラカタに入団しようと思ったのか。

中学受験をする段階から、この学校にカヅラカタがあることは知っていました。母からは「あなたも入ったら?」と言われましたが、まったく興味がありませんでした。もちろん本家本元の宝塚歌劇団を見たこともありませんでした。興味はなかったのですが、母の希望で、入学してすぐ行われた春の公演を見ました。そうしたらものすごく感動しちゃって……。入部を即決しました。

――カヅラカタの醍醐味は何か。

普通の高校の演劇部とは違いますよね。会場は立派だし、音響設備もプロ仕様だし、オーケストラの生演奏もあるし、一般のお客さんもいっぱい来ますからやりがいがあります。

――この部活の難しさは何か。

年々注目度が上がっていて、それとともに公演の完成度に対する期待度も上がっています。その期待に応えなければいけないという思いが、団長としてはあります。一方で、これはあくまでも部活であって、僕らはプロの演劇集団ではありません。学校生活の一環としてこの部活に参加しているわけで、生徒それぞれの事情を無視して無理を押しつけるわけにはいきません。要するに、ひとに命令するのって難しいなってことです。これは僕個人の問題なんですけれど……。でもその困難さを乗り越えていくのが、この部活なんだろうなと思います。

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