トップエリートから身につけたコミュ力 基本を伝授
三省堂書店有楽町店

2階ビジネス書売り場のメインの平台に6列で陳列する(三省堂書店有楽町店)
ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に一度訪れている準定点観測書店の三省堂書店有楽町店だ。駅前立地で多様な客層でにぎわう同店は売れ筋の入れ替わりも早く、前回2019年11月に訪れたときとは平台に並ぶ顔ぶれも大きく様変わりしている。そんな中、先行発売を受けてめざましい初速で売れていたのは、オンラインコラムの人気筆者がビジネス・コミュニケーション力の圧倒的な高め方を説いた一冊だった。
オンラインコラムで人気集める
その本はムーギー・キム『世界トップエリートのコミュ力の基本』(PHP研究所)。著者のキム氏は東洋経済オンラインの連載コラム「グローバルエリートは見た!」で人気を得、『最強の働き方』『一流の育て方』など次々にベストセラーを出してきた人気のビジネス書著者だ。外資系投資銀行やコンサルティングファーム、プライベートエクイティファンドなどでの職務経験や見聞を生かしたクセのある書きぶりが多くの読者を集める。
新著は、著者が世界中のビジネスリーダーたちと働く中で身につけていった「アウトプット(発信力)の世界標準への高め方と、正しいアウトプットをするための基礎となる、インプット(受信力)の強化法」を一冊にまとめた内容だ。
できなかった体験から導く教訓
著者はコミュニケーション能力を文章、プレゼン、会話、質問、読み方の5つに分解する。それぞれについて5つの章で「絶対ルール」という名の教訓にまとめ、文章、プレゼン、会話の前半3章をアウトプット編、質問と読み方の後半2章をインプット編として提示する。読み方というのはメディアなどからの情報を正しく選別するリテラシーのことだ。
著者自身、かつては「コミュニケーション能力が極めて低く、口下手・文書下手・会話下手だった」「堂々といい質問をしていると勘違いしながら、愚かで的外れな質問ばかりしていた」そうだ。そこから経験を積むことでコミュ力の基本をつかみ取ってきたという。そうしたできなかった体験や失敗から教訓を導き出し、プロセスとともに語っているのが本書の読みどころだ。