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「オープンイノベーションに関しては、社長就任時に具体的な考えはありませんでした。ですが、世の中の変化を受け、先んじて多様な意見を取り入れるべきだと思い、18年11月にリサイクルしやすいプラスチック容器など5つの技術を公表しました。花王はこれまで自前主義の会社で、商品化の前に技術を公表するのは異例です」

「特に技術の出口をオープンにするのが重要だと思っています。開発した技術をどのように実用化に結びつけるか。出口を一緒に考えてもらったほうが技術を生かせます。19年にパナソニックと組んで、肌表面に極薄膜を形成してケアする小型機器を発売しました」

赤ちゃん用紙おむつ「メリーズ」復活の立役者。スーパーやドラッグストア、百貨店などに頻繁に足を運び、日用品に限らず幅広く売り場を見て流行を捉える。時間があるときはだし巻き卵などの料理も。「研究者の料理」と調味料はしっかり計る。

赤ちゃん用紙おむつ「メリーズ」復活の立役者。スーパーやドラッグストア、百貨店などに頻繁に足を運び、日用品に限らず幅広く売り場を見て流行を捉える。時間があるときはだし巻き卵などの料理も。「研究者の料理」と調味料はしっかり計る。

――そうした発想の原点はどこにありますか。

「自分は研究者です。研究は白いキャンバスに自分の考えをデザインし、その中にサイエンスを入れ、実証していくという仕事だと思います。研究はすでにあるものを変えるというよりも、新しいものをつくり出すのが醍醐味です。研究者としての原点がいまの経営にも生きています」

素早く気持ちを切り替える

――失敗はありましたか。

「失敗はたくさんありますし、そこから学びがあるのは当然です。しかし、後になって思い出すのは成功したことのほうが多いです。自分の強みは、失敗したり厳しい状況になったりしたとき素早く気持ちを切り替えられることだと思います。失敗の原因はとことん考えますが、100%結論が出ていなくても、ある程度原因を自分の中で決めつけて次に切り替えます。いつも明るく頑張っていると言われることが多いですが、ストレスをためないのは切り替えがうまくできているからだと思います。寝る前に一日を振り返り、反省することもありますが、それはそれでいいかという考え方です。切り替えて朝を迎えます」

――部下と接する際、どのようなことを心掛けていますか。

「マイナスの部分は一切見ません。見てもどうしようもないからです。03年に就任したサニタリー研究所長時代の経験から、人の資産を最大化するにはプラスを伸ばすべきだと思っています。一般的にはプラスを伸ばしてマイナスをなくせばいいといわれますが、両方できるはずがありません。マイナスを指摘するのは1番やってはいけないことです。人間誰しも得意不得意があります。できるだけマイナスを言わずにプラスのことを言い、プラスが伸びれば、マイナスはいつの間にかマイナスではなくなっていきます」

沢田道隆
1955年大阪府生まれ。81年阪大院工学研究科修士課程修了、花王石鹸(現花王)入社。素材開発研究所室長やサニタリー研究所長などを経て2006年執行役員。12年6月から現職。

(川井洋平)

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