変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

企業の「働き方改革」や「休み方改革」が徐々に進み、仕事以外の時間的な余裕が生まれつつあるものの、プライベートと公的生活との境界線があいまいになっている方も多いはず。スマートフォンやSNS(交流サイト)などの利用を、ビジネスから完全に切り離すことはなかなか難しい状況もあるでしょう。

いつでも仕事ができる環境の中で、仕事から離れて完全な休みを取るためには、物理的にネットが利用できない状況を作ることが一番です。私のおすすめは「サウナ」や「ジム」。職場からちょっと出るだけで、自分と向き合う時間が作れます。

サウナで自分と向き合う

私は、いまはやりの「マインドフルネス」とはサウナのことではないかという説を唱えています。マインドフルネスとは、「今、ここ」に意識を向ける心のエクササイズ。サウナに入れば、十分に自分と向き合う時間が作れます(できれば、テレビのないサウナを選択しましょう)。なにせ、スマホは持ち込めません。持ち込んだら、たぶん壊れます。会社のメールやSNSに心をかき乱されることなく、散らかっている脳内の整理整頓をすることができます。そして、水風呂、外気浴。これを3セットもすれば、すっきりとした本来の自分を取り戻せることでしょう。

さらに筋トレに関しては、リフレッシュの時間を手に入れられるだけでなく、将来への投資になることも見逃せないメリットです。お金と同じくらい「健康寿命」は重要です。平均寿命と健康寿命の差を縮め、介護を受けたり寝たきりになったりせず、日常生活の質をいかにキープするかを考えている人は多いでしょう。そのためには、病気やけがになりにくい身体づくりが不可欠です。つまずいて転んだけがをきっかけに寝たきりになってしまう人も数多くいますが、主な原因は筋力不足です。老後のために十分な筋力を保つには、筋肉にも「貯蓄」の考え方が必要となります。「忙しくてできない」という方でも、週2~3回、1回30分程度でも筋トレの効果は出ますので、ぜひ「筋肉貯金」に取り組まれることをおすすめします。

新型コロナウイルスの影響で、キャンプ場がにぎわっているという(大阪府箕面市)

新型コロナウイルスの影響で、キャンプ場がにぎわっているという(大阪府箕面市)

そして最後に1つ触れておきたいのが、新型コロナウイルスの影響で「キャンプ場の予約が埋まっている」という話です。換気の悪い密室がよくないといわれているため、余暇も外でということなのでしょう。パソコンを持ち込み、テレワークをする利用者などが増えているからだと言います。「キャンプ場にまで行って仕事をしたくない」という人もいるでしょうが、1日中特にやることもないので仕事は捗りますし、自然環境の中で朝早く目が覚めて仕事に取りかかれるので、夜は仕事を早く切り上げられる。海外では、このように「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた「ワーケーション」という考え方は普及しています。

私も仕事で海外に行くときには、その前後に休暇を組み合わせて観光などを楽しみます。日本も景気が良かった時代は、出張の前後に旅行を組み合わせて地方へ出かけていたビジネスパーソンも多かったでしょう。今はどこも余裕がないので、このように「仕事と遊びをくっつける」ことを禁止している企業もあるようですが。休み方を工夫して上手に休暇を取ることが、働き方改革につながるということにそろそろ気づくべきです。全員が同じタイミングで一斉に休まなければならないという形態は、働き方が変化する中で、変えなければならないことの1つなのです。

<<(2)性悪説「社員管理」の限界 新型コロナで浮き彫りに

村上臣
青学大理工卒。在学中に電脳隊を設立。経営統合した携帯電話向けソフト開発、ピー・アイ・エムとヤフーとの合併に伴い、2000年ヤフー入社。ソフトバンク(当時)による買収に伴い06年、英ボーダフォン日本法人出向。11年ヤフー退社、12年同社復帰、執行役員チーフ・モバイル・オフィサー(CMO)。17年リンクトイン・ジャパン代表。

「フロンティアの旗手たち」 記事一覧

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック