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この先に来る給与クライシス

さて、いきなり解雇、という事態に陥らないまでも、働く私たちに影響をおよぼす事柄はいくつもあります。すぐに考えつく代表的なものでも4つほど。これらについて整理して説明してゆきます。

1.勤務時間の縮小

北海道のバス会社は、仕事がまったくなくなったから解雇せざるを得なくなりました。そこまで一足飛びでなくとも、多くの会社で仕事が減少しています。そこで経営者はまず、緊急性のない人件費を減らそうとします。

その最たるものが「残業代」です。

だからまず始まるのは、残業の削減であり、具体的には残業承認制度の強化であろうと思われます。仕事が忙しいから残業しました。その分の残業代をください、というふうに働く側としては思うのですが、経営層はそれに対して「先に申請してないんだったら払いませんよ」という仕組みを徹底するということです。

これは法的には正しい取り組みです。ただ、それまで従業員の意志で残業ができていたのに、いきなりそれが変わる、というのでは面食らうこともあるでしょう。

また、本当に残業しなくてよいのならともかく、仕事が減らないのなら結果としてサービス残業が増える可能性が高まります。

2.昇格判断の延期

3月という今の時期を踏まえて考えてみると、経営層が次に考えるであろうことは、昇格の延期だと思われます。

通常、3月決算の会社の場合、4月に昇格が行われます。昇格とは平社員が主任や係長になったり、係長が課長になったりすることです。ほとんどの場合、出世=昇格と言ってもよいでしょう。

これがなぜ4月に行われるかというと、新しい体制で事業年度をはじめるためです。そして新年度の事業計画を強力に推進してゆくので、そのための体制として新管理職などの役職者を決定します。

けれども、この昇格が遅らせる可能性があります。

なぜなら、昇格をすると通常は給与が大幅に増えるからです。

役職が1段階あがることで、少なくとも数千円。通常は2万~10万円ほど昇給します。これが経営にインパクトを与えてしまうので、昇格を延期する可能性があるのです。

3.昇給の延期

3月決算の会社の場合、4~7月くらいに昇給が実施されます。より厳密に言えば、評価結果によって昇給しない人や、減給になる人もいるので、昇給ではなく給与改定ということが一般的になりつつあります。

そして、この昇給タイミングを遅らせる企業が増える可能性があります。

昇給については、実は新卒から定年まで人材がそろっている会社では、大きな人件費増にはなりません。あたかもところてんのように、全年齢層で昇給し、最上位の年令の人が定年し、若い新卒が入ってくる構造が成立していると、理論的には総額人件費は増えないからです。

ただ実際にはきれいなところてん構造になっている会社はほとんどないので、総額人件費は昇給の都度、変動します。

そしてその総額人件費が増える計算になる会社では、昇給そのものを延期する可能性があるのです。

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