甲陽学院卒業して気づいた不安 マネーフォワード社長
辻庸介・マネーフォワード社長(下)
甲陽学院は中学のテニス部が全国大会に行くくらい強かったんです。中学から高校の部活に来るのはすごく上手な連中が多くて、追いつきたいと猛練習していましたね。午前6時半から8時半まで朝練があるので5時には家を出ていました。授業が終わって午後4時から日が暮れるまで練習して、家帰ると10時を過ぎていました。

「朝5時に家を出て朝練に向かい、帰りは午後10時を過ぎるなど、高校時代はテニスに打ち込んだ」と語る
それで成績も急降下しましたが、先生から勉強しろとは言われなかったですね。周りも部活に打ち込んでいました。テニスでは優勝など華々しい成績は残せなかったですが、楽しかったですね。今でもテニスは続けていて、朝の6時半からプレーしています。
卓球とテニスを比べると、卓球の方が瞬発力がいりますね。ボールを短時間にどう回転させるかとかを一瞬で判断する必要があります。テニスは外でやるから風や光などの外的要因とメンタルが影響するスポーツですね。ただ、高校時代にテニスでメンタルは鍛えれなかったなあ。学生時代はピュアだったんで、大人になってからの方がテニスは上手になったと思います。メンタルのコントロールができて、勝負所でびびらなくなったりと、精神的に成熟しましたから。
自由と豊かな自然、京大には甲陽学院と同じ雰囲気を感じた。
大学は農学部に進むのですが、理系を選んだのは担任の先生のアドバイスがあったからです。先生から「理系から文系にはすぐ移れるから、迷うんだったら理系がいい」といわれ、生物が好きだったので理系にしました。
志望校は京大と東大にどちらにするかで迷って、「じゃあ神様に決めてもらおう」と国立の前期試験は京大、後期は東大で受けました。そうしたら両方落ちてしまいました。神様から「まだ早い」と言われたんですね(笑)。模試の合格判定でも良くなかったのですが、周りの友人は受かりそうだから、自分もいけるだろうと。結果は模試の結果通りでしたけど。
同級生は浪人を含めれば半分以上が東大か京大に進んでるはずです。地頭のいい連中が集まっているんで、授業についていけさえすれば京大に入れるという環境でした。仲のいいテニス部の同級生は模試で全国1位をとったこともあり、試験前にノートを見せてもらったんですが、賢い人は過程を飛ばすから、僕が見てもよく分からないんですよね。彼は京大から米マサチューセッツ工科大(MIT)に留学して研究者の道を歩んでいます。