変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

だとすると、正論でしっかり議論されることで、結論が出ることが早くなり、その分だけ多くの会議が開催されるようになったということでしょうか。

「今のところはそうですね。今後変わるかもしれませんが。若い連中は楽しそうですが、60歳を前にしてこんな変化はなかなかついていきづらいですね」

そうぼやかれつつも、イシイさん自身はしっかりついていっているどころか、客観視までされているのだからむしろリードされているとは思ったのですが。

ウィズコロナで生産性の概念が大幅に変わる

今多くの会社で、どうしても顔をあわせなければいけない仕事以外は、極力リモートに変えていこうとしています。その期間が1~2週間程度であれば一時的な対応として、やがて対面に戻るとリモートワークも消えていくでしょう。

しかし3月の1カ月をまるまるリモートにした会社も少なくありません。

そして今後、その流れはさらに長引く可能性があります。

だからむしろ対面であることがまれになる、そんな働き方に変わることを念頭に置いておくほうが良さそうです。

そうして失われるものもあるのですが、新しく生まれるものもあります。

先ほどの会議の例でいえば、失われる、とまではいかずとも薄れていくものは忖度であり雑談であり、それらはあえて言うならメンバーシップ型企業を形成してきた空気感ではないでしょうか。

その一方で新しく生まれるものは、論理的かつ適切な議論であり効率です。それは生産性と言い換えてもよいでしょう。

メンバーシップの空気感が薄れて生産性が高まっていく。

その先にあるものはもしかするとジョブ型の働き方であり、個人の意識が尊重される組織なのかもしれません。

それはまだはっきりと断言できるものではありませんが、少なくとも私たちは、ただ流されてどこかにたどりつくのではなく、どこに向かうのかを意識して働き方を変えていくほうが良さそうです。

それはウィズコロナという状況で考える組織戦略の一環となってゆくでしょう。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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