変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

陸上以外も考えることで、勝つ組織へ進化

――監督の考えを理解し、支えてくれる現場のリーダーはいますか。

「リーダーには共に戦うサブリーダーの存在も欠かせないと思います。私が就任1年目に入学し、後に主将になった檜山雄一郎くんはその代表例です。青学大陸上部という組織の土台を作る一番苦しい時期に、チームを支えてくれました。仲間とけんかもしたと思うのですが、常に嫌な役を自ら買って出て、私についてきてくれました」

「最近はチームに自主性が生まれているので、選手よりもマネジャーが中心となって動いてくれています。私がダイレクトに学生に伝えることもありますが、基本的にはマネジャーに伝えてチームに波及させています。マネジャーは参謀というイメージです。前向きな思考で取り組んでくれた学生といえば、箱根駅伝で初優勝した時のマネジャーだった高木聖也くんでしょうか。いつも明るさを持って活動してくれて、組織を進化させてくれました」

ビジネスマンの経験が監督としての指導に役立っていると感じる(前列右から2人目、会社員時代の同僚と。2004年)

ビジネスマンの経験が監督としての指導に役立っていると感じる(前列右から2人目、会社員時代の同僚と。2004年)

――次世代のリーダーに求められる要素は何でしょうか。

「リーダーには問題解決能力が求められますが、2種類あると考えています。それは管理解決型と改善解決型です。管理解決とは現状のシステムそのものを変更せず、運用を変更してシステムの効率を上げようという働きかけです。日本人が得意としている分野だと思います。ただ、現代社会は何が答えかわからない時代に入っています。そうなると、現状のシステム自体を変えて根本から新たなもの作り上げていくアプローチが求められます。改善解決型ですね。今後はより良い方向に改善していくクリエーティブさが重要になります。リーダーは変わりゆく社会の流れをキャッチしていかなければ、取り残されてしまいます。なので次世代を育てるには、教育現場も変わっていかなければいけないでしょう」

――勝ち続ける組織であるために、心がけていることはありますか。

「学生が陸上のことを理解することは当然ですが、それだけを考えさせるのではなく、常に世の中で起こっている現象を考えさせています。一見すると陸上とは関係ないかもしれませんが、それを繰り返すことで考える能力が身につきます。凝り固まった頭脳では応用が利かなくなります。専門外のことを語るためには勉強しなければいけません。客観性を持たせるためにデータを用いることも必要でしょう。何がどう絡み合って問題が起きているのか。私は常に3つの視点を持って考え、コンパクトにまとめさせることを学生に課しています。それを習慣化させ、常に改革マインドを持つことが、回り回って箱根駅伝で勝つ組織へと進化していく力になると信じています」

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