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コロナ禍は商機や新市場を広げた面も

・特徴3 今の状況を「ビジネスチャンス」ととらえる企業

景気の悪化が懸念される今だからこそ、ビジネスチャンスがあるととらえ、事業拡大を狙う企業もあります。業績が低迷すれば、多くの企業が「コスト削減」に取り組むでしょう。これまで社員や派遣社員が手がけていた業務、アウトソーシングしていた業務などをIT化によって効率化し、コストカットを図る動きが広がると見込まれます。

例えば、ソフトウエアの機能をインターネット経由で提供する「SaaS型」のクラウドサービスを手がける企業は、ユーザー拡大のチャンスととらえ、営業体制の強化に動いています。

コロナ感染拡大防止のため、各社ではリモートワークへの切り替えが進んでいます。これを機に「リモートワークでも十分やれる」「むしろ便利」となれば、コロナ終息後も定着する可能性が大です。リモートワークがさらに広がっていけば、SaaSなどのクラウドサービスは「攻め時」となるでしょう。

・特徴4 体力があり、「採用チャンス」と考えている企業

経済が危機的状況に陥る前に、タイミングよく資金調達を達成した企業もあります。そうした企業をはじめ、景気不安が長期化しても戦える体力を持っている企業では、「他社が採用どころではない今だからこそ、優秀な人材を獲得するチャンス」と考え、積極採用を行っています。採用ターゲットも、若手層からリーダー、マネジャー層まで多様です。

・特徴5 過去の教訓から、「採用を止めてはいけない」と考えている企業

2008年のリーマン・ショックに、11年の東日本大震災と、過去にも何度か経済危機が訪れました。その当時、景気の先行きを不安視して人材採用を控えた企業の中には、後々、組織構成にゆがみが生じたり、景気好転後に人材確保に苦労したりと、苦い思いをした企業が少なくありません。「明けない夜はない。中長期的に見て、人材採用を止めてはいけない」と、あえて採用を継続している企業もあります。

オンライン面接のみで内定 選考がスピードアップ

現在の求人市場の特徴として顕著なのが、「選考のスピードアップ」です。ソーシャルディスタンシングを守るため、企業は採用面接をオンライン上で行っています。一方、応募者側には在宅でリモートワークをしている人が多く、会社からずっと監視されているわけでもないため、業務の合間に1時間程度のオンライン面接を受けられる状況にあります。

通常、企業側と応募者側で面接日程をすり合わせる際、双方の都合がなかなか合わないことも多いのですが、今は面接日程の設定が非常にスムーズです。実際、求人の紹介・応募から1~2週間程度の間に2~3回のオンライン面接が組まれ、採用が決まるケースもあります。

ただ、これだけのスピードで進むのは、やはりベンチャー企業ならではでしょう。大手企業の場合、人事から各採用部門への接続や調整に手間取るなど、時間がかかってしまうことが多いようです。

コロナ禍の先行きはまだまだ予断を許さない状況。しかしながら、ご紹介したとおり、採用に意欲的な企業も存在するので、情報にアンテナを張っておいてはいかがでしょうか。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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